教育福島0162号(1992年(H04)04月)-046page
ふるさと探訪
県指定重要文化財(建造物)
旧外島家住宅一棟
所在地喜多方市字小荒井道下一三六番地の二
所有者喜多方市
「旧外島家住宅」は、江戸期を通じて世襲の郷頭を務めた最上層の農民であったとみられるもとの所有者外島家が、代々農業を営む住居として使用してきたものですが、同家の改築に際してその保存のため、喜多方市によって、「喜多方プラザ」向いの現在地に移転復元されました。
同建造物は、当初は、間口三間半の広い「かって」をヒロマとするヒロマ型三間取りで、後に、格式上の必要から座敷二室が上手に増築されていますが、会津地方の上層農民住居で「旧横山家住宅」(国指定)に次ぐ建立年代が確定でき、十八世紀のこの階層の住居における規模・構造形式や、各部造作の進化の程度などを知り得る貴重な建物です。
県指定重要文化財(工芸品)
銅鐘一口
所在地喜多方市慶徳町新宮字熊野二二五八番地所有者熊野神社
熊野神社境内の「長床」に向かって左側の鐘堂に懸架されている銅鐘は、本県に現存する最古の銘を有する秀れた梵鐘です。
貞和五年(一三四九)に、蘆名氏一族とみられる平朝臣明継らによって寄進・鋳造されたと伝えられますが、端麗な楷書で陰刻された銘文と、永年の風雪により磨減しているものの、僅かに陽起した蓮華の花・蕾・荷葉の図絵とから、製作当初の華麗さが偲ばれます。
なお、「旧外島家住宅」とともに、平成四年三月二十四日付けで県指定重要文化財として指定されました。