教育福島0163号(1992年(H04)06月)-007page
指導要領が目指す教育を実現する観点に立って、体験的な学習や問題解決的な学習を重視するとともに、個に応じた指導を工夫するなど、指導内容や指導方法の一層の工夫改善を行い、教育水準の維持に努めることが大切である。
また、学校教育で身についた資質や能力は家庭や地域社会における様々な体験などを通して深められ、根づくものであり、家庭や地域社会を学校教育の発展の場として、またそれを補完する場としてとらえることが大切である。そのため、学校は、家庭や地域社会とともに子供を育てるという観点に立って、その連携を一層深めることが大切である。
我が国の子供たちの学力の高さは、国際的にも定評がある。しかし、今子供たちに求められているのは、ペーパーテストのみで測られるような学力とは異なる、新しいタイプの学力である。すなわち、学力を単なる知識や技能の量の問題としてとらえるのではなく、学校、家庭及び地域社会における学習や生活を通して子供が自ら考え主体的に判断し行動するために必要な資質や能力として身につけるものであると考えることが大切である。
学校週五日制の実施を契機に、このような新しい学力を一人ひとりの子供が身につけるとともに、個性を発揮して生活することができるよう、教育委員会、学校をはじめとする関係者の一層の努力が求められている。
〔筆者紹介〕
近藤信司・こんどうしんじ
昭和二十三年 愛知県に生まれる
昭和四十六年 東京大学法学部卒業
昭和四十六年 文部省大学学術局大学課
昭和五十四年 岡山県教育委員会文化課長
昭和五十六年 臨時行政調査会調査員
昭和五十八年 文部省初等中等教育局中学校課課長補佐昭和五十九年 文部省体育局体育課課長補佐
昭和六十年 文部大臣秘書官事務取扱
昭和六十一年 文部省官房総務課副長
昭和六十三年 文部省生涯学習局専修学校教育振興室長
平成二年 文部省初等中等教育局小学校課長