教育福島0163号(1992年(H04)06月)-017page
徒指導の在り方を考える上で多くの示唆を与えるものである。
中・高連携による効果的な生徒指導のあり方
〜生徒の学校適応を図るための指導法の実践研究〜
福島県立双葉農業高校
一 主題設定の理由
近年、本校では社会情勢の変化とあいまって、基礎学力が不足し、目的意識を持たないで入学する生徒が増えている。これらの生徒は、学習意欲が乏しいので、怠学や問題行動を繰り返し、中途退学するケースが多いのが現状である。
したがって、本校では入学生徒をいかにして学校生活に適応させるかが緊急の課題である。本校における学校生活不適応の原因は、校内の生徒指導や学習指導等に起因するものがあると思われるが、一年生の中退者が全体の約八〇%を占めていることを考えると、中学校の進路指導にもその一因があるものと思われる。
そこで、中学校との緊密な連携を基本に、生徒の実態に即した指導の充実に努めることにより、生徒の目的意識の高揚と、望ましい方向への変容を目指すため本主題を設定した。
二 研究の見通し及び研究組織
中学校との緊密な連携により生徒指導の充実に努めれば地域の本校に対する評価が高まり、それが生徒の自信につながって意欲的な学校生活を送れるようになり、生徒の学校適応が図られるであろうとの見通しを立てた。
そのため校内四領域、中・高連携、地域連携の各研究班を設け、研究実践の三本柱として推進していくことにした。研究の組織づくりに当たっては、小規模校の実情を踏まえ、研究推進委員会のもとに企画調査部(三名)を設けて素案作成にあたることにした。また、本校の生徒指導のあり方について抜本的な改善を図るために、校内四領域の各研究班の代表で構成する生徒指導推進委員会を設け、研究実践に取り組んだ。
三 研究仮説
(一) 本校の志願状況と生徒の実態
1) 本校の志願者数は、希望の段階では募集定員をかなり割り込んでいるが、出願期間直前になって急増し、かろうじて定員数を確保している。
2) 生徒は学校生活や学業について消極的であるので、物事に対して受身的であり、主体的・意欲的に行動することが少ない。
3) 目的意識が低いことから、アルバイトなど校外生活に興味・関心を示す生徒が多い。
4) 学業成績のみで学校を選択する傾向が強く、本校の教育方針や学習内容を十分に理解しないまま入学する生徒が多い。
(二) 研究仮説
本校の実態や中学校教師など地域住民の意識調査結果を踏まえ、研究主題に迫るため次の仮説を設定し、全職員で実践研究に取り組むことにした。
1) 校内の四領域(学習指導、生徒指導、進路指導、保健指導)において、生徒の実態に応じた諸方策を導入し、生徒指導の充実に努めれば、生徒の目的意識が高まり、意欲的な学校生活を送れるようになるであろう。
2) 中学校との緊密な連携が図られれば、生徒理解が深まり、個に応じた効果的な生徒指導が可能になるであろう。さらに、中学校においては、本校教育に対する認識が変わり、適切な進路指導が期待されるであろう。
3) 地域行事等への積極的参加と奉仕活動に努めれば、地域全体の本校教育に対する理解が深まり、それが地域の各中学校に波及し、中・高連携が円滑に行われるとともに、生徒にも自信と誇りが生まれるであろう。
この仮説を図に示すと次のようになる。
四 研究領域の小テーマの設定
生徒の学校生活の状況や地域住民