教育福島0163号(1992年(H04)06月)-018page
などの意識調査結果の分析を行い、次の三つの研究領域における六研究班の小テーマを設定した。
(一) 生徒指導の充実(校内四領域)
1) 学習指導
基礎・基本の定着を図り、魅力ある授業の展開と学習に取り組む基本的な態度の育成
2) 生活指導
生徒の主体的活動を援助し、基本的な行動様式の確立とモラルの向上を目指す指導の実践
3)進路指導
望ましい職業観の育成と進路意識の向上を図る指導の実践
4) 保健指導
食生活の健全化と内面的指導の充実を図るための指導体制の確立
(二)中・高連携の実践
生徒理解を深める中・高連携の推進
(三) 地域連携の実践
地域に根ざした高校をめざす地域連携の実践
五 研究の実践
A 校内領域における実践
(一) 学習指導
本校生の多くは中学校時より基礎学力の不足が原因で、学習意欲を失ったまま入学してきているため、これらの生徒たちに「できる喜び」「在存価値を認められる喜び」を味わわせることが必要である。「わかる授業」を実践し、基礎・基本の定着化を目指すことが、本校にとってとりわけ大切なことである。
1) 本校生の中学校時における学力の実態と特性の把握
生徒の学習意欲を阻害しているものや特に興味・関心が高いものなどについて、学習活動面の分析を行った。
2) 生徒の実態に応じた学習指導法の開発と実践
いかに学習意欲を喚起し楽しく授業に参加させるかについてさまざまな実践を試みた。
ア 本校生が特に基礎学力に欠けている「数学1)」「英語1)」については補助教材(プリント)を自作し、中学校の学習内容である基礎・基本の定着化を図り、高校へのつなぎ教材として活用した。
また、「産業基礎」では実験実習中心の授業展開に努めているが、バイオなど高度な学習内容が多いため、生徒の理解を助け、農業への興味・関心を高めるために「実験ノート」を自作し活用した。
イ 校内研究授業、中学校に対する公開授業、中学校での授業参観、教師相互の授業参観などにより教師の指導技術の向上に努めた。
3) 成績不振生徒に対する指導の改善
時数不足を含む成績不振生徒が増加傾向にあるため、学期ごとに追指導による赤点解消などで対応してきた。しかし、生徒は赤点解消について安易に考えており、必ずしも成果をあげていなかった。
そこで、成績不振者に対する指導の見直しを次のように行った。
ア 各学期及び学年末の追指導の流れを改め、家庭の協力を求めながら全職員で取り組める体制で指導にあたることにした。
イ 「学習カルテ」を導入した。生徒の赤点及び時数不足の解消についての自覚を高めるとともに、教師が指導経過を常に把握し指導の効果を高めることがねらいである。
(二) 生活指導
本校では、基本的な生活習慣や学習の習慣が確立されていない生徒が多い。そのため、従来の生活指導の在り方や諸規程について見直すとともに、生徒の主体的活動を援助し、基本的な行動様式の確立とモラルの向上を目指す指導を実践した。
1) 制服・頭髪指導の徹底
ア 制服の乱れと問題行動との因果関係や本校生と中学生及び地域住民の制服に関する意識等を調査し、実態を的確に把握することにした。
イ 入学時の制服はほぼ正常であるが、中学校時からの一部の制服違反者が核となり、学年が進むにつれて他の正常な生徒に広がっていく様子が把握できた。
ウ 中学校訪問の際に生徒個々の中学校時における服装状況を把握し、服装が乱れていた生徒については、本校入学後の早い段階で個別指導を徹底し、できるだけ他の生徒への拡大防止に努めた。
エ 毎月、制服検査日を設定し、たえず注意を喚起するように努力した。
オ 生徒規律委員会が町内の人々の「生の声」を録音し、ホームルーム活動で取り上げ、望ましい服装のあり方について話し合わせた。
2) アルバイト指導の改善
ア 意識調査の結果、本校生の七〇%、保護者及び地域住民の六〇%がアルバイトを肯定的に考えていることが分かった。このことを踏まえ、従来のアルバイト原則禁止の指導から、ア ルバイトを認める指導への転換を図った。
イ 学校とアルバイトを両立させるため、事業主に協力を求めて「アルバイト生徒連絡票」を導入し、学校と職場との緊密な連携を図ることにした。
ウ アルバイトの功罪等について、