教育福島0163号(1992年(H04)06月)-034page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

管理ができるようにする。

イ 学習能率の向上及び積極的に取り組む意欲の向上を図るため、ルーペ等の弱視レンズを活用する。

ウ ワープロに関心を示しているため、コミュニケーション能力の向上を図り、文章構成や表出能力向上のため、ワープロを効果的に活用する。

エ 校外において、一人で行動できるようにするとともに、地図の活用や周囲の状況判断が適切にできるようにする。

オ 学校行事や生徒会活動等において、自己の役割を果たすとともにワープロで作成した資料を活用させ、集団参加能力を高める。

(2) 聾学校福島分校(小学部「養護・訓練」の時間の指導)

《日常生活の場面を言葉で再構成させる指導》

1) 対象児童 B子 小学部二年

2) 障害の状況及び生育歴 未熟出産で、生後間もなく風疹症候群と診断された。以後病院言語治療室へ週一回通院し始め、生後四か月より補聴器を装用した。近隣保育所の健聴児集団で保育を受けた後、幼稚部を経て本校小学部に入学した。入学後も病院で聴力検査等を定期的に受けている。

知的面は、WISC-R検査では動作性IQは一〇〇だが、言語性IQは四十七である。性格は負けず嫌いである。

3) 養護・訓練指導上の課題

ア 本児は、左眼の十分な活用と補聴器の早期装用により、視聴覚を比較的良く生活に活用しているので、今後、簡単な文章作成や単語の数を増やすことが課題である。

イ 経験している身近なことでも、言葉と結びついていないため、話の内容を十分理解できず、話の一部を手がかりとして行動してしまうので改善をしたい。

ウ 教師とのコミュニケーションはある程度とれるものの、友達間では身振りで意思を伝達するため、トラブルが生じやすく改善の必要がある。

4) 年間指導目標

ア 経験した事を言葉で置き換えさせ、日常生活の中で活用できるように言語活動を向上させ、円滑な人間関係を育てる。

イ 学校の生活全体を通して、進ん

 

年間脂導計画(弱視レンズ・ワープロの活用に関ける部分を抜粋)

 

発声・発語の訓練

 

発声・発語の訓練

 

発声・発語の訓練

 

表1 A子の養護・訓練の課題と主な指導事項

 

課題主な指導事項
身体の健康(自己の疾病の理解と管理)障害を進行させないための生活様式の工夫
心理的適応(障害を克服する意欲の向上)集団の中で役割と責任を果たすなど、積極的に行動する社会性の育成
環境の認知(感覚の補助及び代行手段の活用)弱視レンズの活用による学習能率の向上
運動・動作(移動能力の向上)校外における単独移動能力の向上
意思の伝達(言語の表出能力の向上)ワープロの活用による文章構成、表出能力の向上

 

表2 B子の養護・訓練の課題と主な指導事項

 

課題主な指導事項
身体の健康(自己の疾病理解)・(生活様式の工夫)基本的生活習慣の確立・自己の障害の理解
心理的適応(対人関係の形成)・(障害を克服する意欲の向上)障害の改善、克服への積極的態度
環境の認知(感覚の補助、代行手段の活用)・(概念の形成)補聴器のフィッティング、聴覚学習・生活経験の拡大
運動・動作(協応動作の向上)左眼だけの使用なので、疲労や遠近のとらえかたに配慮した協応動作
意思の伝達(相互伝達の基礎的能力、言語の形成能力の向上)発声発語訓練、発話、読話、読み書き、語いの拡充、語句の意味理解、言語的思考力の向上

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。