教育福島0163号(1992年(H04)06月)-035page
で話そうとする態度を賞賛し、教師や友達との話し合いを活発にさせる。
ウ 言語の受容と表出の円滑化のために、発話、読話、指文字、手話等のコミュニケーション手段を補完して使わせる。
エ 直接的、間接的な体験を通して生きた言葉が身につくように、視聴覚教材の活用や動作化等の指導法の工夫をする。
年間指導計画
(3) 石川養護学校(小学部「日常生活指導」)
《日常生活における衣服の着脱、給食及び校内での移動の指導》
1) 対象児童 C子 小学部一年
2)障害の状況及び生育歴 精神薄弱重度(遠城寺式乳幼児分析的発達検査 移動能力一歳五か月、手の運動四か月、基本的習慣七か月、対人関係七か月、言語理解六か月)、てんかん、動眼神経まひ、生下時体重二、八八〇グラム、出生八時間後けいれんを起こし呼吸停止、一か月入院、発育状態不良、つかまり立ち四歳、一人歩き六歳四か月、発熱でけいれん発作を起こし四回入院
3) 養護・訓練指導上の課題
ア 学校や家庭の生活の中で、食事、排泄、衣服の着脱、洗面、入浴などの身辺処理は介助を必要とする。また、土・砂・粘土等に手を触れることを極度に嫌い、がん具等にも興味、関心を示さず、学習活動のほとんどを援助に頼っている状態である。そこで、C子ができるだけ自立的に日常生活や学習活動に取り組めるようにするには、基本的動作の習得と向上が課題となる。
食事動作の改善
イ 歩行姿勢は前傾が強く不安定で、傾斜や段差のある場所では転倒しやすい。このことが、学習等の諸活動に好ましくない影響を及ぼしていることから、移動、特に坂道や階段の上り下り、段差を越えるなどの動作の改善に取り組む必要がある。
4) 年間指導目標
ア 日常生活の指導においては、養護・訓練の内容を相互に関連づけて指導を行い、生活の基本動作の改善、習得が図られるようにし、C子が少ない援助で生活できるようにする。
イ校内での移動能力の向上を図り、段差の所や階段を自力で移動できるようにする。
(4) 平養護学校(小学部「養護・訓練」を主とした指導)
《合図を伴う運動を通した指導》
1) 対象児童 D男 小学部三年
2) 障害の状況及び生育歴 脳性まひ(痙直型)発達検査(運動-八〜十か月、社会性-十〜十一か月、言語-八〜十か月)未熟児出産。乳のすいつきが悪く、黄疸(だん)が強かった。一歳七か月の時、脳性まひと診断された。生後七〜八か月で首がすわり、十六か月で座位がとれるようになった。離乳は十二か月であった。一歳六か月から週一回の機能訓練を受けている。
座位は不安定で脚は交差している
表3 C子の養護・訓練の課題と主な指導事項
課題 主な指導事項 身体の健康(生活のリズムの形成・健康の維持増進) ○1日の生活の流れの習得(次の活動への誘導)
○運動と日光浴心理的適応(対人関係の形成・情緒の安定) ○話しかけ
○抱っこ
○音楽を聞く
○散歩環境の認知(感覚の活用・概念の形成) ○水・紙・粘土遊び
○絵の具遊び
○テレビを見る
○楽器遊び運動・動作(姿勢保持・移動能力の向上・基本動作の習得・改善) ○歩行(坂道・段差)
○階段昇降
○トランポリン・ぶらんこ遊び
○すべり台・キャスターボード乗り
○つかむ・はなす意思の伝達(相互伝達の基礎的能力の向上・ことばの受容・表出能力の向上) ○あいさつ
○話しかけと反応の受け止め
○非言語による表出の受けとめ
○受容と拒否の表出
○発声の受けとめ
年間指導計画(日常生活の指導における養護・訓練の内容)
指導項目 主な指導内容 1学期 2学期 3学期 衣服の着脱 脱ぐ動作を嫌がらないようにする。 援助を得ながらも自分で脱ぐことができる。 衣服を自分で脱ごうとする。 食事 容器やスプーンに触れて遊ぶ。 食べ物を催促する仕ぐさをする。 手、又はスプーンで食べ物に触れる。 移動動作 促されて、足や手で段差を探る。 自分の力で、段差のある場所を歩く。 段差のある場所を安定を保ちながら歩く。