教育福島0163号(1992年(H04)06月)-039page
夕を活用した学習指導を、実際に行ったことがあるのは、わずか四十九名(グラフ1)だけでした。このように、実際に指導に当たれる教師が少なく、養護教育におけるコンピュータ活用はまだまだ不十分であることが明確になりました。
しかし、同時に、学校へのコンピュータ導入が進む中で(グラフ2)、校内でのコンピュータに関する研修が多くの学校で始められていること(表3)、多くの教師が、「機会があれば使ってみたい」と考えている(グラフ3)ことも分かりました。
このような現状と意識のギャップを早急に埋めていくには、次の三点が大切となります。
(1) 教育機器としての学習指導上の有効性や限界及び活用の視点の明確化
活用の視点として重要なのは、コンピュータによる教育でなく、養護教育にコンピュータをどう生かすかということであると思います。
(2) コンピュータを有効に活用するための研修体制、指導体制の確立
今回の調査により、ほとんどの教師が、コンピュータを活用したくないのではなく、活用したくてもできないのが実態であることが分かりました。今後、設備の充実を図るとともに、コンピュータを有効に活用するための研修体制、指導体制の確立が急務であると思います。
〈グラフ1〉
コンピュータ活用学習指導の有無
〈グラフ2〉
コンピュータ導入年度
〈グラフ3〉
コンピュータ使用希望の有無
(3) 養護教育に必要な周辺機器やソフトウェアの開発・工夫と流通
障害に応じた周辺機器の開発は、障害の一部を補うエイドとしてのコンピュータ活用と結びついてきます。
特に、肢体不自由児をはじめとする障害児にとって、障害に応じた周辺機器として入力・出力装置が改善・工夫されることによってコミュニケーションの一手段として、有効なものとなり得る可能性を持っています。
五、おわりに
当センターでは、前述の課題を解決するために、今後、次のように研究を進めていく予定です。
今年度は、特に、養護教育におけるコンピュータ活用の一環として、肢体不自由児教育の分野で、障害に応じた機器の開発・工夫、活用の方法などの実践研究を各関係機関の協力を仰ぎながら進めていきます。さらに、最終年度には、各障害におけるコンピュータ活用の在り方の実践研究へと進めていきます。
なお、研究を進める上で、日々の教育活動におけるコンピュータ活用に関する取り組みやその成果等の情報が必要になってきますので、各学校のご協力をお願いします。
表3 研修の有無
年度
研修の有無過年度 平成3年度 研修有り 85 56 研修無し 202 48