教育福島0164号(1992年(H04)07月)-009page

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もち、たくましく生きる人間を育成することは、時代の要請である。

そのためには、児童生徒の実態等を十分把握し、道徳の時間の指導を中心に、各教科、特別活動の指導を強化する努力が期待されている。

今回の改訂において、道徳教育では、次の点が強調された。

(1) 道徳内容の再構成

道徳内容の再構成に当たっては、その見直しの視点として、次の四点を挙げ、内容の再編成をした。

1) 主として自分自身に関すること

2) 主として他人とのかかわりに関すること

3) 主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること

4) 主として集団や社会とのかかわりに関すること

(2) 道徳の内容の重点化

重点化に関しては、小学校低学年では、しつけなどの基本的な生活習慣、中学年では、日常の社会規範を守る態度、高学年では、公徳を守り公共に尽くそうとする態度を、また、中学校においては、人間としての生き方の自覚などに留意して、小学校低学年で十四項目、中学年で十八項目、高学年及び中学校で二十二項目に内容を整理し、重点化を図った。これによって、児童生徒の発達段階に応じた指導が充実して行えるものと期待できる。

 

2 基礎・基本の徹底と個性を生かす教育の推進

 

「豊かな心をもち、たくましく生きる人間」を育成するために、すべての児童生徒に欠かすことのできない知・徳・体の基礎的・基本的な内容は何かを明確にし、確実に身に付けさせる必要がある。この基礎的・基本的な内容の指導を徹底することによって、あるいはその過程を通して「個を生かす」ことができると考える。

(1) 基礎・基本の確かな定着

すべての児童生徒に、基礎的・基本的な内容を確実に身に付けさせ、基礎学力の向上を図ることは、各学校がかかえる最大の課題であり、責務である。

したがって、今後は、各学校で実施している各種の学力診断テストや調査の実施結果を克明に分析して、自校の児童生徒一人一人の学力の実態と問題点を明確にし、日々の指導に生かす手立てを講じる必要がある。

基礎・基本の確かな定着を図るためには、次の点に一層留意することが望まれる。

1) 教材の系統・発展を的確にとらえ、基礎的・基本的事項を明確にするとともに、指導の過程を大切にして定着を図ること

2) 児童生徒の個人差に応じ、個性を生かした指導を工夫すること。

3) 学習指導における関心・意欲・態度等情意面の評価の在り方を研究し、指導と評価の一体化を図る新しい評価観を確立すること。

(2) 個性を生かす教育の推進

児童生徒一人一人のもつ能力や適性を最大限に伸ばし、個性を生かす教育の充実を図るためには、次の点に留意することが大切である。

1) 一人一人の能力・適性・興味・関心を的確にとらえること

2) 教師主導の一斉画一的な指導から脱し、児童生徒のものの見方・感じ方・考え方を大切にすること

3) 一人学習やペア学習、グループ学習など--一人一人の個性が生きる学習スタイルを工夫すること

4) 個を生かす発問や板書の工夫などの指導方法の改善を図ること

5) 個に即した学習課題や到達目標を設定し、学習進度や学習量の調整を図ること

 

3 自己教育力の育成

 

これからの学校教育は、児童生徒が主体的に生きていくことができる資質として、自ら考え、判断し、自信を持って表現したり行動できる豊かで創造的な能力の育成を目指している。このような教育を真に実現していくためには、内発的な学習意欲を喚起し、自ら学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などの育成を基本とする新しい学力観に立って学習指導を展開していくことが必要である。

新しい学力観に立つ学習指導は、児童生徒の考え、夢や希望などの思いや願いに基づいて、これまで経験したり学習したりしたことや児童生徒一人一人のよさ、可能性などを生かしながら、新しい課題に進んでかかわり、自ら考えたり、判断したり、試みたり、表現したりすることを中心にして展開される必要がある。その過程において、新たな課題の解決に生きるように知識や技能を自ら獲得し、それがその後の学習や生き方にかかわる思考や判断、表現などの能力として培われていくことが大切である。このようにして培われた資質や能力はおのずと個性的なものであり、その後の学習や生活に生きて働く力、すなわち、自己教育力に役立つ力となる。

新しい学力観に立つ学習指導においては、評価の改善を行う必要がある。新指導要録においては、新しい学力観に立つことが明確になるように、観点の並べ方を従前とは逆転させ、各教科の評価の観点を学力の形成過程に合わせて、「関心・思欲・態度」、「思考・判断」、「技能・表現(または技能)」及び「知識・理解」の順により示している。したがって、そ

 

 

 


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