教育福島0164号(1992年(H04)07月)-010page

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のためには、児童生徒の主体的な学習活動を中心に展開されることが不可欠であり、教師の指導観や児童生徒の学習観の転換が期待されている。

このような観点から各教科の指導に当たっては、次のような配慮が必要である。

(1) 学習活動への適切な動機付けを与え、学ぶことの意味や楽しさや成就感を感得させる。

・体験的な活動を重視するとともに児童生徒の興味や関心を生かし、自主的、自発的な学習を促す工夫

(2) 何をどのように学ぶかという主体的な学習の仕方を習得させる。・学習の方法、手立てを明確にし、学び方を学ばせる指導の工夫

・問題解決的学習あるいは探究的、発展的学習を重視した指導の工夫

 

4 文化と伝統の尊重と国際理解の推進

 

国際化が一層進展する中にあって、次代を担す日本人を育成するためには、日本の文化と伝統を理解しようという態度を育成するとともに、諸外国の人々の生活や文化を理解し尊重することを重視していくことが肝要である。

このように、国際社会に生きぬくために必要な資質を養う観点から、日本の文化や伝統を愛し、関心や理解を深める指導とともに、日本人としての主体性を保持しつつ、世界的視野で考え、行動できる日本人の育成は、国際化に対応する教育の課題の一つである。

そのために、次の点について留意して指導することが必要である。

(1) 日本人としての自覚と誇りを持って、文化の発展に貢献できるような教育内容の充実を図ること

(2) 世界と日本とのかかわりに強い関心を持って、世界の中の日本人としての自覚と責任感を培うようにすること

(3) 郷土学習の導入による歴史的、文化的学習の充実、身近な環境を生かした生活科の学習の充実、個性を生かす選択教科の拡充、外国語によるコミュニケーションの力の育成、国際理解教育の推進等に一層工夫すること

以上、教育新時代における学校教育の改善の観点を述べてきたが、新学習指導要領の全面実施が、小学校では本年度から行われており、その実現に向けて努力することが大切である。中学校にあっては、平成五年度と目前に迫ってきた今、新学習指導要領の趣旨を正しく理解し、移行措置を適切に行い、スムーズな移行が行えるよう最大限の努力を傾けることが急務である。

以下に示す具体的内容や方法を各学校の実態に応じ、力点を定めて、二十一世紀に生きる「心豊かなたくましい人間」の育成を目指し努力することが大切である。

 

グループ学習風景

 

グループ学習風景

 

一 学校の教育目標の見直しと具現化

 

1 教育目標の見直し

 

学校教育目標を設定し、その目標達成のための具体的手段を機能させることは、学校経営の理念にかかわる問題であり、到達すべき目標ともなるので、学校経営上重視されなければならない。特に、近年は、社会の著しい変化に伴い児童生徒の生活や意識も大きく変化してきている。したがって、そのような変化に対応して小学校教育目標についても見直しをすることが急務である。

各学校においては、自校の実態に応じるとともに、指導要領や指導要録改訂の趣旨等を十分に踏まえて学校の教育目標を再検討することが必要である。

学校の教育目標の見直しに当たっては、次の点に留意することが必要である。

ア 多角的な観点から教育課題を把握して、自校の目指す児童生徒像を明確にすること

イ 関係法令、学習指導要領、県・市町村教育委員会の重点施策を土台にすること

ウ 地域、学校、児童生徒の実態と保護者や地域社会の願い、教職員の期待を考慮すること

エ 知・徳・体の価値が調和的に構成されるようにすること

オ 児童生徒にとって、身近でわかりやすい表現にすること

前年度の教育目標を踏襲する場合であっても、次の過程を経るようにする。

ア 教育目標設定の背景と今日的な意味づけ、自校の教育課題を明確にするとともに教職員の共通理解を十分図ること

 

 

 


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