教育福島0164号(1992年(H04)07月)-011page
イ 教育目標の分析、内容の吟味、整理、構造化を進めて、一層の具体化を図ること
2 教育目標の具現化
教育目標の具現化とは、抽象的に表現されている教育目標を、具体的、重点的なものにし、その達成のための方策や計画に基づいて児童生徒が行動化、態度化に至る過程であるととらえられる。したがって、一人一人の児童生徒が、発達段階に応じて教育目標を自らの課題として受けとめるとともに、教職員も一丸となって組織的に取り組むことが大切である。
(1) 重点目標の設定
教育目標は、どちらかというと長期的、総体的、調和的であることが多い。したがって、教育目標を達成するために、重点目標を設定することが望ましい。重点目標は、短期的、部分的、強調的なものあり、その設定に当たっては、前年度の反省や児童生徒の実態に応じて教育目標の実現の状況の陥没点を強調するものでありたい。さらに、単年度で到達可能な、具体的、実践的で、児童生徒にとってもわかりやすく、親しみやすい表現にするよう配慮することが大切である。
(2) 学年、学級目標への具体化
学年目標は、学年の発達段階や実態に即して重点目標を具体化した指標である。設定に当たっては、次の点に留意する。
ア 教育目標の内容を分析し、児童生徒の発達段階に応じた具体的な目標であること
イ 教育活動の中で、指導の場と機会を明確にすること
ウ 各学年に応じた目標達成の内容を明確にすること
エ 学期や月ごとに、重点的な実践事項を明らかにすること
オ 学年にかかわる教師の役割を明確にし、学期及び月ごとに反省し、評価改善が行えるようにすること
学級目標は、重点目標や学年目標を受けて、その学級の実態や担任の個性を生かして設定される学級自体の目標である。
設定に当たっては、話し合いの機会を設けるなどして児童生徒もかかわり合えるよう工夫したい。
(3) 各教科、道徳、特別活動の目標への具現化
自校の重点目標を具現化するために、三領域への位置付けと関連性の持たせ方は、各学校の目標達成のため極めて重要であり、具現化を図るために次の点に留意したい。
ア 教育課程編成は、年度の重点目標達成の観点から行うこと
イ 具体化した目標を、各教科等の単元や題材の学習活動に位置付けること
ウ 教科で努力することを年度当初に児童生徒と話し合って、約束や評価表等を作成すること
エ 授業案や週案等に、目標とのかかわりから実践事項を記入して、意図的に取り組むこと
3 具現化のための組織体制
教育目標を達成するための基本条件は、教職員の役割を明確にし、各人の持つ能力や特性を十分発揮できるようにするとともに、共通理解を十分図って協力体制を確立することであり、そのためには、次のような配慮が必要である。
ア 学校の実態に即して機能的な組織を編成すること
イ 職務内容や方法等を明確にし、責任体制を整えること
ウ 適材適所の配置に心がけるとともに協力体制を確立すること
エ 定期的に委員会や各部会等を開き、到達度や課題を明確にすること
オ 家庭や地域と共通理解に立ち、協力、実践できる体制をつくること
カ 児童会、生徒会の組織が、具現化に関連できるような体制をつくること
4 教育目標具現化と評価
常に、児童生徒の目標達成状況を評価し、指導法を改善して目標に迫る相乗的効果を目指すため、次の点を大切にする。
ア 教師、児童生徒の評価や改善策を学校経営に生かすようにすること
イ 定期的に反省し、成果と課題を全職員で確認すること
ウ 学期末の総合評価では、評価の対象や観点、基準、方法等を的確に定めて行い、実践課題を明確にすること。
エ 月、週の努力点の評価を適切に行い、評価を生かすように指導援助すること
オ 可能な限り保護者や地域の要望等を生かすよう努力すること
二 自校の教育課題と特色ある教育課程
各学校では、全教職員の共通理解のもとに自校において取り組むべき教育課題を明確にし、その教育課題解決を目指した「特色ある教育課程」を編成しなければならない。そうすることは、学習指導要領の趣旨の実現を目指す教育活動の実施の第一歩を踏み出すことになるのである。