教育福島0164号(1992年(H04)07月)-013page

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徒が自分のよりよい学習や生活に進んで生かせるような資質や能力、すなわち、児童生徒の自己実現に生きて働く関心、意欲・態度、思考力、判断力、表現力、実践力などの能力、技能、知識、理解を指すと考えられる。

具体的には、次のようにとらえることができる。

ア 学習指導要領に示す各教科・領域の目標及び内容

イ 各教科・領域の内容で、特に言語と数に関する内容(読み・書き・計算)

ウ 学習の適時性を考え、その学年で身に付けておかなければ次の学年での学習に支障があると考えられる内容

エ 学習を展開するのに必要な辞典、地図、諸資料の活用の仕方、用具やノートの使い方等の学習方法や技術

オ 徳育の基礎となる基本的生活習慣や自己抑制心に裏付けられた自主的・自発的態度

これらは、日々の授業を通して具体化することが大切である。

 

2 基礎・基本を明確にする手順

 

(1) 学習指導要領、指導書から

学習指導要領、指導書に示されている各教科の目標や学年・分野の目標、内容及び内容の取り扱いを十分理解し、学年で押さえるべき知識、技能、能力、態度等を明確にする。

この場合、学年の系統性や発展性、他教科との関連性等も明確にすることが大切である。

(2) 児童生徒の的確な実態把握から

児童生徒は知識、技能、能力、態度等がそれぞれ異なっている。したがって、基礎的・基本的内容を児童生徒一人一人に自分のものとして身に付けさせるためには、自校の児童生徒の実態を、諸調査や検査、毎時の授業の観察、評価等から的確に把握することが必要である。

(3) 年間指導計画及び単元(題材)や単位時間とのかかわりから

(1)から(2)までの手順で押さえた身に付けさせたい基礎的・基本的内容を、児童生徒の学習の実態に応じて、その取り扱いに軽重を加えたり、指導内容の精選を図り、それぞれの単元(題材)の目標内容として年間指導計画に位置付けるとともに一単位時間の基礎的・基本的内容を的確に押さえることが大切である。

 

3 授業の改善・工夫

 

どのようにしたらよい授業、わかる授業ができ、しかも基礎的・基本的内容が定着するか、次の点から授業を見直し、改善しようとする努力が必要である。

(1) 主体性を高める授業

学習することは喜びであり、楽しいことなんだという″学習観″を児童生徒一人一人が持てるようになることが大切である。そして、"わかりたい"、"できるようになりたい″という願いや欲求を満たしてやれる手だてや場の設定を工夫し、それらを通して主体性を高める授業の創造に努めることが必要である。

1) 学習意欲を喚起し、持続させるために次の点に留意する。

ア 学習への動機づけの工夫

イ 成就感、達成感の体得

ウ 認められたい欲求の重視

エ 真剣に学習に取り組める雰囲気の醸成

2) 学習の手順や方法等「学習の仕方」を児童生徒の発達段階に応じて身に付けさせる。

3) 一単位時間の指導目標、中心となる活動を明確にして、時間的にゆとりを持って主体的に活動できる場を設定する。

4) 児童生徒一人一人の存在を認め愛情を持って接し、援助するなど主体性を支える児童生徒と教師との信頼関係を確立する。

(2) 個性を生かした授業

「個性を生かす」ことには次のような意味がある。

ア 誰にも潜在的にある「よさ、可能性、思い、願い(個性)」を伸張させようとする。

イ 個の特徴となっている興味・関心、適性などを活用し、共通するねらいに効果的に達成させようとする。

ウ 自分の特性を客観的に理解させそれを自分で活用し、自分の力で問題解決させようとする。

個性を生かすためには、広い視野から児童生徒一人一人の特性を認め、そこから指導の在り方を考えなければならない。

 

ひまわりの種を数える算数科の授業

 

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