教育福島0164号(1992年(H04)07月)-015page

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ウ 今後の社会で特に必要とされる道徳性の育成を図るという観点も視野に入れ、学校や地域の特質を生かした特色ある活動を組織すること

(4) 環境による指導

人は環境の影響を受けるが、また、人が環境をつくるともいわれている。心の教育である道徳教育にとって、望ましい環境を積極的につくることは重要なことであり、学級や学校における人間関係を充実するとともに、校舎・教室等の整備に努めることが必要である。

〈指導上の配慮事項〉

ア 一般的な環境の充実・整備にとどまらず、道徳性の育成に迫る工夫をすること

イ 児童生徒が積極的に働きかけ、教師と共によりよい環境をつくっていくという観点を重視すること

ウ 環境による指導にとって、家庭や地域社会の果たす役割は大きい。積極的に連携を図るとともに、実践可能な具体的な活動となるように努めること

 

2 道徳教育の一層の充実のために

 

(1) これからの教育においては、児童生徒一人一人は様々な可能性を内に秘め、よりよく生きたいという願いをもち、その可能性を発揮して豊かな自己表現を目指しているという観点に立って、その可能性を積極的に見いだし、それを伸ばすよう努めなければならない。

各学校において道徳教育をすすめるに当たっても、児童生徒の「よさ」を積極的に伸ばしていくことによって、弱点を補強していける計画も工夫されるべきである。

(2) 道徳教育の要である道徳の時間の指導を活性化するためには、指導過程の基本型を柔軟に考え、ねらい、資料、指導方法、児童生徒の実態によっては一部事前事後指導として扱うなど工夫することが求められている。特に、学校や学年の重点目標にかかわる内容の指導は、他の教育活動と関連付けたり、出立かな体験を計画したりして、総合的な指導として年に何回か取り組むことが必要であろう。

 

五 特別活動の充実

 

特別活動に期待されていることは、生涯にわたる人間形成にとって必要な資質や豊かな個性、社会性を培うための基礎的、基本的事項を体験を通して習得させることである。

これから児童生徒が生きていく社会は、情報化・国際化・価値観の多様化などこれまでと比べて生活環境の変化が一層激しくなることが予想される。

従って、教師一人一人が特別活動の「なすことによって学ぶ」という特質と教育的意義を理解することが、効果的な指導の鍵となる。

 

1 これからの特別活動指導上の課題

 

(1) 個に応じた指導の充実

特別活動は、児童生徒による集団活動を特質とすることから、特別活動の評価に際してこれまでは、集団活動としてどの程度まとまっているかなど外面的な統一や成果だけを問題にするあまり、一人一人の児童生徒の実態に応じた指導や活動の過程を温かく見守ることがおろそかにされる傾向があった。

これからの教育では、自ら学ぶ意欲を持ち、個性を生かす指導の充実が要請されているのであり、そのためには、自ら学ぶ目標を定め、主体的な学習の仕方を身に付けさせるとともに、個に応じた指導を工夫することが大切である。

一人一人の児童生徒は、興味・関心・知識・能力などの面で異なっている。このように、個人差が多様な児童生徒一人一人の学習を成り立たせるためには、個に応じた指導を適切に進めることが大切である。

児童生徒による望ましい集団活動を展開するためには、特別活動の指導に当たる教師として、平素から人間的な温かみを持ち、児童生徒を受容する態度・忍耐力に富むことなどの資質が要請される。いわゆるカウンセリング・マインドを心得ている教師の前では、児童生徒は自由に自己表現をすることができるのであり、このことを心得ている教師の指導により、特別活動のねらいも達成できるものと考えられる。

(2) 集団活動の充実

これからの社会は、価値観の多様化が一層高まると思われる。また、情報化の進展にともない一つの出来事や事象に対して、様々なとらえ方や感じ方をする人が増えてくると思われる。したがって、これからの社会に生きる児童生徒は、従前にも増して、他とのかかわりの中で自分の考えをしっかり持ち、発表でき、友人の考えを柔軟に受けとめることなどの資質を身に付けることが要請されている。

そのような資質を持つ児童生徒を育成するためには、児童生徒一人一人が児童会(生徒会)活動や学級活動での委員会や係の話し合い、各種の集会での活動、あるいはクラブ活動など様々な集団活動において、所属する集団の一員としての役割を自

 

 

 


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