教育福島0164号(1992年(H04)07月)-020page

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また、へき地・小規模校の児童生徒の特性のマイナス面として指摘されている互いに刺激し合ったり、高め合ったりする向上意欲に欠ける点を補う観点から、話し合い活動や集団思考の場を設ける工夫も忘れてはならない。

(2) 主体的な学習態度の育成

少人数の固定的な集団では、ともすると追随的・妥協的な学習態度になりがちである。したがって、学習が、意欲的、主体的に展開できるように指導過程を工夫したり、目標や課題等が児童生徒の一人一人の学習の成立に機能するように配慮する必要がある。また、教科に応じたノートの取り方や学習の仕方を身に付けさせることも大切である。

特に複式学級においては、自学自習の習慣や異学年との協力活動を通して主体的な学習態度を育てることが大切である。そのためには、児童生徒の属する学年により指導内容が異なるので、各児童生徒の状況に応じた柔軟な指導に配慮しなければならない。

(3) 自然環境を教材や体験学習に生かす

へき地・小規模校においては、豊かな自然環境を生かして、教材を地域社会から見出し、豊かな学習活動を展開するように創意工夫することが望まれる。

そのためには、日常の学習活動の中に体験的な学習を取り入れ、児童生徒が自主的・自発的に学習することができるような場を設定することが重要である。各教科等の指導の中で観察、調査、実験、栽培、飼育などの諸活動、製作、創作などの表現活動など、地域の豊かな自然環境を生かした多様な体験的な学習を取り入れることが大切である。

(4) 教育機器や資料の積極的な活用

児童生徒の興味・関心を高めたり理解を助けたりするための大きな役割を果たす視聴覚教材や教育機器を積極的に活用し、学習意欲の喚起や学習の仕方を身に付けるようにすることが大切である。

(5) 指導と評価の一体化を図る

少人数学級の良さは、個々の児童生徒に目が届きやすく、学習のつまづきをとらえて個に即した指導がしやすい点にもある。したがって、一人一人の学習結果やつまづき等を個人カルテなどに記録し、評価や今後の指導に役立てるように配慮して、指導と評価の一体化を図ることが重要である。

 

十 体育、保険・安全及び給食指導の充実

 

児童生徒の心身の調和的な発達を図り、健康で安全な生活を営むために必要な習慣や態度を育てるためには、学校の教育活動全体を通じて行われる体育に関する指導を一層充実させる必要がある。

そのため、体育指導については生涯スポーツと体力の向上を重視し、児童生徒が自ら進んで運動に親しむ能力や態度を身に付け、心身を鍛えることができるようにすることが大切である。また、保健・安全及び給食指導については、身近な生活における具体的な知識の理解や活動を通じて、自主的に健康で安全な生活を実践する能力や態度を育成することが大切である。

 

1 体育指導の充実

 

体育指導は、体育の授業を中核としながら、体育的な行事や運動部活動などとの関連を十分に図り、児童生徒が自ら進んで運動に取り組み、体力・運動能力を向上させることができるよう配慮する必要がある。

(1) 指導体制の確立

学校の教育活動全体を通じて体育的活動が適切に実践されるよう、全体計画や部門別計画を作成するとともに、指導組織を確立させる。

(2) 運動の楽しさの体験

身体を動かす楽しさを体験させるだけにとどまらず、児童生徒の発達段階を考慮しながら、運動の特性(競争、達成、克服、模倣・変身、必要性の充足等)に触れる楽しさや喜びを味わわせるとともに、最善を尽くして運動に取り組むことができるよう配慮し、技能の向上が図られるよう指導する。

(3) 運動への主体的な取り組み

児童生徒が進んで運動に取り組むことができるよう、発達段階や一人一人の能力に適した課題や活動の場を自ら選択できるよう配慮する。

(4) 体力・運動能力の向上

学校や児童生徒の体力・運動能力に関する課題を的確に把握するとともに、その解決に向かって一人一人が日常的に継続して運動に取り組むことができるよう、施設設備の活用や指導法について工夫する。

 

2 保健・安全指導の充実

 

保健・安全指導は、児童生徒の学校生活はもとより、生涯にわたって健康で安全な生活を実践するための基本的な能力や態度を育成することをねらいとし、児童生徒の発達段階や特質に応じて、教科・道徳・特別活動等をはじめ、学校の教育活動全体を通じて適切に推進する必要がある。

(1) 学校保健委員会

学校医、学校歯科医、学校薬剤師等の適切な指導助言を受けながら学校保険委員会を十分に機能させ、全教員の共通理解の下に、指導に当たる。

 

 

 


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