教育福島0164号(1992年(H04)07月)-047page

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教育ひと口メモ

 

ことばの遅れ

養護教育センター

 

一、 お母さんの心配

就学前の子どものお母さんから、次のような「ことば」に関しての相談が多くあります。

(1) ことばが出ない

(2) ことばがはっきりしない

(3) ことばの数が少ない

(4) 発音がおかしい

(5) どもるような話し方をする

しかし、よく話を聞きますと、「動作がのろい」「落ち着きがない」「友達と遊べない」「ひとつの物に凝り、遊びが発展しない」「日常の基本的な生活習慣が身に付かない」「気持ちが通じにくい」等、合わせて心配していることも多いようです。

「ことばさえ何とかなれば、幼稚園でも小学校でもみんなとうまくやっていけるのです。…。」と思いがちですが、実は、「ことば」以外の事が、「ことば」と深く関連しあっているのです。

 

二、 ことばの発達

ことばには、話しことば以外に、聞いて分かることば、文字として書に表せることば、考えるためのことばなど、いろいろな側面があります。それらの発達は、互いに影響しあっていますが、かならずしも均等にバランスよく発達していくわけではありません。

また、話しことばに限っても、語いの発達、構文能力の発達と、構音能力の発達と、いろいろな側面があります。

したがって、「うちの子はことばが遅れている」と一口にいっても、その内容は、前述した、どの側面が遅れているのかによって、子ども一人ひとり違ってくるのです。

 

三、 ことばの遅れ

ことばの遅れとは、子どもがある年齢に達しても、年齢相応に、ことばを理解したり、使用したりすることができない状態を言います。それは、ことばの数が少ない、言いたいことをことばで表せない、話そうとしない、ことばがつながらない、人の話に関心を示さない、口が遅い、口数が少ないなど、いろいろな遅れの症状を示します。

また、「ことばの遅れ」とは、本来、言語発達だけが遅れており、他の発達的側面にはほとんど問題を持たない子どもを指していました。しかし、現在では、ことばの遅れは、言語発達が遅れているすべての子どもを包括する用語へと変化してきています。つまり、ことばに遅れがあれば、精神発達遅滞児や自閉症児でも、「ことばの遅れ」がある子であるという考え方になってきているのです。

 

四、 ことばの遅れの理解のために

ことばの遅れにも、さまざまな理由や原因があります。それにしたがって、対応の仕方も少し違いますが、基本は同じです。

子どものことばの発達は、成長に伴い自然に発達していくように思われがちですが、実際には、そういったものではありません。ことばの発達は、親をはじめとする周囲のすべての人とのかかわりを通じて、築かれていくものです。

つまり、ことばは、周囲の人や物とのかかわりを通した「学習に」によって、「幼児期」に身に付いていくものなのです。だから、「ことば」を無理に教え詰め込むのではなく、温い自然なかかわりの中で、タイミングよく、ことばが使われることが重要なのです。

詳しくは、心身障害児ハンドブック第四集「ことばの遅れ」を御覧ください。

 

 

 


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