教育福島0165号(1992年(H04)09月)-008page

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特集1

進路指導の充実

−中学校−

義務教育課

 

進路指導は本来、生徒一人一人が自らの個性的な能力を開発し、自らにふさわしい進路を選択しそれを実現していく能力を育てるところにそのねらいがある。

今回の新しい学習指導要領の冒頭にも述べられているように「自ら学ぶ意欲をもち、社会の変化に主体的に対応できる能力を育成する」ことは学校教育において、生徒自ら学ぶ意欲と主体的に考え、判断し、行動できる能力の伸長を基礎的・基本的な内容の中核をなすものとしてとらえる必要がある。

しかし、中学校における進路指導の課題として、現在次のようなことが指摘されている。

ア、進路指導の中心が進学指導に偏り、偏差値による進路決定などにより生徒一人一人の願いや適性の指導が見失われがちである。

イ、進路指導そのものが、ややもすると職業及び、進路の紹介・斡旋に偏り、生徒の適性が見逃されがちである。

ウ、生徒自身、自らの個性や適性の把握に努めることが少なく、進路に対しての将来への見通しが弱い。

工、中・高の連携や学校と家庭間の連携・強化が弱く、効果的な情報収集の工夫が必要である。したがって、生徒の将来における生き方の指導や人生観、職業観などに立脚した自己実現のための進路選択、決定への援助指導を一層充実する必要がある。

こうした点を踏まえ、県教育委員会では、中学校における進路指導の重点施策として新学習指導要領の趣旨を基に生徒自らの生き方を考え、主体的に進路を選択することができるように、学校教育全体を通して計画的、組織的な指導を行うため、次の三項目を設定している。

一、進路指導についての共通理解を深め、指導体制を確立する。

二、教育課程における進路指導の位置付けを明確にして指導計画を改善し指導の充実を図る。

三、家庭や関係諸機関との連携を一層強化する。

これらの重点施策を具現化するために一県では「教育福島」九月号で毎年進路指導の特集を掲載し、資料や情報の提供を行っている。

また、中・高一貫した進路指導の充実のために、各管内ごとに、進路指導講座を開設することにより、各中学校に対して進路指導についての深い理解と一層の努力を要望しているところである。

進路指導の現状から、当面する課題を明確にとらえ、本格的な進路指導の推進を図るには、生徒一人一人の生き方についての指導援助をするとともに、個々の生徒の望ましい職業観の形成を促進する教育活動を展開する必要がある。また、生徒の主体的な進路の選択能力を育成し、将来の社会的・職業的自己実現に最善の努力ができる人間を育成しなければならない。

以下、中学校における進路指導の望ましい在り方を求めて、自校の問題点や課題解決のため全校挙げて研究に取り組んでいる中学校の実践例を紹介する。

双葉郡浪江町立浪江中学校は、平成二年度、三年度の二カ年にわたり東北地区中学校進路指導研究大会福島大会の会場校として進路指導の改善・充実を目指し、大きな成果をあげたところである。

当校では「望ましい職業観と人生観の形成をめざす進路指導のあり方」を研究の柱に、主として年間指導計画の工夫改善・学級活動の在り方等について、学校全体で組織的・計画的に実践研究を積み上げてきた。

なお、研究の成果は平成三年十月二十四日に発表された。

各中学校においては、進路指導の今日的課題を正しく理解し、浪江中学校の研究の成果を参考にしながら自校の進路指導の改善・充実に一層の努力を期待するものである。

 

 

 


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