教育福島0165号(1992年(H04)09月)-025page

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気配りの大切さ

鳥中雪野

 

ながら話しかける努力をした。しかし、五月になっても変化は見られなかった。

 

A子はクラスでも無口で控え目な児童である。四月当初は私が話しかけても、首を縦か横に振るだけで声を出そうとはしなかった。担任が変わったばかりでまだ緊張しているのか、それとも何か問題があるのか原因がわからないので、しばらく様子を見ながら話しかける努力をした。しかし、五月になっても変化は見られなかった。

ある日の休み時間、A子は一人で鉄棒をしていた。後方支持回転である。体育の時間に学習したのだが、A子はできなかったのである。そばに行って「こうやるんだよ。」と手本を示そうとしたものの、その日に限って失敗してしまった。「あれ、今日はできないね、難しいね。」と話しかけると、A子は「クスッ」と笑ってまた後方支持回転の練習を続けた。それから、何日か過ぎてからまた校庭にいくとA子が練習していた。しかし、今度はできるようになっていた。「すごいすごい、できるようになったんだね。」と言って思わず拍手をしてしまった。A子はまた「クスッ」と笑って後方支持回転を始めた。

次の日、私が教室で仕事をしていると、そばにA子がやってきた。

「どうしたの?」と聞いても、にっこりするだけであった。手に何かを持っていた。かわいい三冊のノートであった。「見せて、見せて。」私がふざけて子どものように言うと、「いやだ、はずかしいから。」と照れるようにA子は言った。私は天使のささやきを聞いているような気がした。A子が私に初めて話しかけてきたのである。「いいから見せて」と強引にノー卜を見せてもらった。中に女の子のかわいい絵が描いてあった。「うまいなぁ、自分で描いたの。」と聞くと、「そう。」と答えた。

それから、二カ月が過ぎ、A子は私に気軽に話しかけてくるようになった。休み時間になると、一年生からの様々な出来事を話してくれる。やっといい関係になってきたようだ。

A子とのやりとりで、私が考えさせられたことは、クラスの児童に対して自分が偏りなく全員に気配りをしていただろうか、ということであった。目立つ子どもには、一日に何度も話しかけるが、目立たない子どもには、一言も話しかけずに過ごしてしまっていたのではないかと気付かせられたのである。

初任者研修で、ある指導主事の先生が「教師のまわりに集まる子どもの輪の外にいる子どもへの配慮を忘れてはならない。」とおっしゃっておられた。私はこのことを充分に実行しているのだろうか。

そこで私は次の事を実行することにした。それは朝のおはよう作戦と帰りのさよなら作戦である。おはよう作戦とは、朝、誰よりも早く教室に入り、入室してくる子ども一人一人に「おはよう○○君、○○だね」と何かしらの声をかけてやること。また、さよなら作戦とは、一斉にさよならをした後、廊下に出て、「○○さん、さようなら。」と一人一人にあいさつをするようにしていくことである。

初任者として、今、子どもたちのために自分ができることを、精一杯やっていきたいと思っている。

(福島市立笹谷小学校教諭)

 

学校過五日制に思う

新国基次

 

立させる機会にしよう。」という前向きな姿勢でのぞむ考え方が打ち出された。

 

今年九月から本県でも学校週五日制が開始されることになった。このことについては先の高P連県大会の席上でも論議され、「生涯教育の一環として位置付け、主体的に学習する習慣を身につけたり、家庭における対話・しつけ等を通して、基本的な生活習慣を確立させる機会にしよう。」という前向きな姿勢でのぞむ考え方が打ち出された。

しかしながら、学校五日制の導入に対する一般の父兄の受け入れ方は複雑なものがあり、六月に行われた本校の方部懇談会でも、「土曜日でも両親揃って勤めの家が多くあり、手伝わせる仕事もなく、暇を余して非行に走るのではないかと考えると子供だけを家に置いて置くのは心配

 

 

 


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