教育福島0165号(1992年(H04)09月)-037page
−教育ひとロメモ−
教育課程編成上の特例
養護教育課
盲・聾・養護学校の教育は、児童生徒の心身の障害の状態等を考慮して小学部は小学校(中学部は中学校、高等部は高等学校)の教育目標の達成に努めるとともに、児童生徒の心身の障害に基づく種々の困難を克服するために必要な知識、技能、態度及び習慣を養うことにあります。
このため、盲・聾・養護学校の教育課程は、「各教科」、「道徳」、「特別活動」と、前記傍線部の指導を行うために設けられている「養護・訓練」(本誌六月号参照)で編成することになります。
今回は、重複障害者等に関する教育課程編成の特例について、盲・聾・養護学校で適用している代表的な例について解説します。
学校指導要領における特例
(第一章、第二説、第四重複障害者等に関する特例)
一 精神薄弱養護学校の各教科の代替
盲学校、聾学校、肢体不自由及び病弱養護学校の児童生徒のうち、精神薄弱を併せ有する者については、精神薄弱養護学校の各教科の目標及び内容の一部に替えることができるとともに、精神薄弱の程度に応じて、各教科そのものに替えることができるようになっています。
二 養護・訓練を主とした指導
重複障害者のうち、学習が著しく困難な児童生徒については、各教科、道徳、特別活動の目標及び内容の一部を養護・訓練に替えられるとともに、重複障害の程度に応じて各教科そのものに替えて養護・訓練を主とした指導ができるようになっています。
前述の一又は二の適用については、児童生徒の障害の種類と程度及び重複障害の状態を十分に把握して、各学校の教育課程全体の中で、慎重に検討する必要があります。
三 下学年の教科の目標及び内容の適用
当該学年の教科に関する内容の履修が困難で、目標達成ができない場合は、下学年の教科の目標及び内容の一部又は全部に替えることができるようになっています。
下学年の適用については次の二点に留意する必要があります。
(1) 教科の名称は替えられない
例えば、中学部で小学部の生活や算数の名称は使用できません。目標及び内容についてのみ替えることができるわけですが、その際、当該教科と関連のある教科(例 中学部の美術と小学部の図画工作のように)が関連してきます。
(2) 極端な下学年適用は望ましくない
中学部の下学年適用とは、小学部の高学年程度の範囲内と考えられるが、高学年になっても相変わらず小学部低学年の内容を履修しなければならない場合は、前記一又は二の適用などの配慮が必要であります。
四 訪問教育については、前記一又は二の適用ができます。
学校教育法施行規則における特例
(第七十三条の十一2))
○ 精神薄弱者を教育する場合において特に必要がある場合は、各教科、道徳、特別活動及び養護・訓練の全部又は一部について、合わせて授業を行うことができるようになっています。また、重複障害者についても合わせて授業ができます。
いわゆる領域・教科を合わせた授業についての規定ですが、教育課程編成においては、各教科や道徳、特別活動、養護・訓練を合わせることができないことに留意する必要があります。