教育福島0166号(1992年(H04)10月)-018page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

ことができた。

(3)幼児教育担当者や保健所の家庭指導員(保健技師)等と障害児について共通の話し合いの場をつくることができた。

(4)関係市町村教育委員会、福祉事務所等関係諸機関との連携を深めることができ、今後の教育相談活動に見通しがもてるようになった。

(5)校内の職員全体が適正就学についての意識の向上を図り、活性化することができた。

 

六、今後の課題

 

(1)今年度の研究の実践から校内の全職員の意識の高揚を図ることができた。今後も更に校内就学指導体制の充実を推進する。

(2)体験学習の在り方を更に研究し、関係諸機関との連携を深めながら、地域に開かれた養護学校づくりに努める。

(3)教育相談及び体験学習の実施について十分検討し、充実した就学指導となるように努める。

(4)障害幼児への早期の就学指導を推進するため、保護者や福祉施設との連携を十分図る。

(5)障害幼児に対する関係諸機関の保育訓練会等への教育的なかかわりを積極的に進める。

 

一日入学

 

一日入学

 

おわりに

 

心身障害児適正就学推進研究校として、地域の関係諸機関との連携によって就学指導を組織的に行うことができた。

今回の研究では、対象幼児を早期に把握することが前年の課題だったが、幸いなことに、就学前幼児の福祉施設入所が進められるようになったことで、四月に一名が白河めぐみ学園に入所し、研究の見通しをある程度もつことができた。

しかし、その他の対象児を把握する具体的な活動は、九月末の白河市教育委員会の諮問をうけて、心身障害児就学指導審議会の判断を経て、十月に行われる養護教育振興会県南支部の障害幼児教育相談会まで待たなければならなかった。例年この手順から就学指導を開始する訳であり、障害幼児の早期発見という立場からは課題の一つになる。

精神発達遅滞に関する障害の判断は慎重にする必要がある。特に乳幼児期に障害と認めることが難しい場合が多く、行動やその活動の状態から安易に判断することは危険である。障害幼児をもつ家庭において悩みながらも気持ちの動揺はかくしきれず、障害を認めることに拒絶的な態度をとることは当然のことである。

教育相談で具体的に対応してみると個々の障害のケースにより様々な課題を抱えていて、互いの立場をよく認識し、理解を深めながら就学指導を推進することが重要なことである。更に、関係諸機関相互のパイプをより強固なものにし、連携を揺るぎないものとしていくためには、常日頃の情報交換を密にすることによって信頼関係を作って行くことが大切である。

最後に、今回の研究を通して重要な課題の一つに養護教育の理解、啓発の不足がある。

就学指導を進める上で教育相談は、その入口ともいえるものであるが、それが今一つ進められない要因として養護学校・障害児に対する地域社会の方々の理解の不足と偏見があるように思われる。

本校は今回、就学教育相談のパンフレットを作成し、四十カ所に及ぶ幼稚園、保育所に配布し効果を上げることができたが、養護学校の存在、養護学校の教育、障害児の理解等についてほとんど知識のない人や関心の薄い人がいることを忘れてはならない。様々な機会を通して、この課題の解決にむけてますます努力を続けていく必要がある。

今後とも、本研究で得た成果をもとに、関係諸機関の協力をいただきながら、障害を有する幼児・児童生徒の適正就学の充実を図っていきたい。

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。