教育福島0166号(1992年(H04)10月)-020page

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思い思いの土曜休養日 −会津教育事務所−

 

会津管内においては、各市町村の公民館、学校PTA、地域の諸団体等による様々な催しが行われ、児童生徒は、これらの催しに参加したり、各自の計画を実行したりしながら、思い思いに土曜休業日を過ごしました。

会津高田町立高田小学校では、町を流れる宮川で「マスつかみ大会」が行われました。この大会は、普段魚つかみ等の体験の少ない児童に、自然に触れる楽しさを感じてもらおうと、高田小PTA、町漁業協同組合、町公民館が「少年教室」として実施したものです。大会には、三百五十名を越す参加者があり、台風一過の秋晴れのもと、川面にマスを追いかける児童の歓声がひびきわたりました。

一方、河東町立河東第二小学校の上学年の児童は、学区内にあるコミュニティセンターで「手づくり絵本」に挑戦しました。町公民館の職員や手づくり絵本会の方々を講師とする本格的な絵本づくりとあって、楽しい活動の中にも、質問をしたり、説明を聞いたりする児童の目は真剣でした。そして、完成した「世界でたった一冊の、楽しい楽しいわたしだけの絵本」は、町の文化祭に出品することになりました。この事業は、県より委託された、モデル開発事業の一環として実施されたもので、今後も、「たこづくり」や「映写会」等の親子が一緒に楽しめる体験活動が企画されています。

 

手づくり絵本に挑戦する児童

 

手づくり絵本に挑戦する児童

 

マスつかみに歓声をあげる児童

 

マスつかみに歓声をあげる児童

 

やさしい拓本のとり方 −県立博物館−

 

博物館の展示においては、見る行為を通して文化財に接することになります。見るばかりでなく、直接文化財に触れることで、より文化財に対する親近感をもつことができます。しかし実際に文化財に触れる機会は、そう多くあるとはいえません。この講座では、拓本をとるという行為を通して文化財に触れ、文化財に親しみ、より認識を深める契機とすることを目的とし、さらにわが国に古くより伝わる拓本という複写の技術の伝承をも図ろうとしたものです。定員通りの参加者三〇名、うち小学校二〜六年生一五名の参加があり、父母と協力し合っての拓本実習となりました。拓本をとる対象は、縄文時代の土器片、中世の供養塔である板碑、江戸時代の銅鏡の背面文様と、原始から近世へと時代的な幅をもたせつつ、平面性があり比較的拓本のとりやすい資料を選びました。拓本は文様や文字などを実物大に忠実に複写するもので、不鮮明な文字の判読などにも役立ちます。ただし資料を汚すことは、絶対に避けなければならず、そのため特別に調製した油墨を使い、墨を打つタンポなどの道具もすべて手作りのものとなります。講座では、まず道具の一つであるタンポの作り方からはじめ、とり方の実技へと移りました。縄文土器片は表面に縄目の文様が細かくあり、肉眼ではなかなか見分けにくい。拓本をとることによってこの文様がはっきりと浮びあがり、拓本の効用を目の当りにすることができたと思われます。同時にいくつかを採拓することによって文様の相違等も把握できたと者られます。拓本をとる行為によって、資料を十分に観察する態度も養えると思われるが、採拓に熱中して親祭する余裕はなかったようです。拓本の技術を習得するには時間がかかり、この講座はその入口に過ぎません。使用した道具類はすべて持ち帰り、後日を期すことにしました。

 

 

 

 

 


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