教育福島0166号(1992年(H04)10月)-049page

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博物館ノート

新生代植物化石・鈴木敬治コレクション

一九八九年、福島大学地学教室から当館に、新生代の化石を中心に約二万点の植物化石が寄託されました。これらの大部分は、鈴木敬治先生ご自身の収集と、福島大学地学教室の卒業生等によって収集された貴重な化石です。鈴木先生は、福島大学ご退官後の現在も、当館で精力的に整理作業を行っています。

福島県の新生代植物化石は、鈴木先生等によって詳細に調べられ、多くの論文が出ています。特に会津盆地の新第三紀〜第四紀の植物化石の変遷の研究は、他に例を見ない特筆すべきものでしょう。

福島県の新生代の植物化石産地の多くは、日本列島の大部分が海でおおわれ、多島海であった一六○○万年前の前後の時代と、一〇〇〇万年前以降の時代のものです。大地の隆起・海退に伴い、福島県の内陸部はあちこちに湖や沼沢地のような環境が出来上がり、そこに植物遺体が流入したのです。

植物は当時の時代の環境を忠実にあらわしています。植物化石による古植生の変遷は、新生代第四紀の氷河期、間氷期の環境をはじめ、地域によっての植生の変化もとらえることができます。植物化石研究を含めた科学の結集が、古環境の復元に役だっているのです。

ツゲの一種

ツゲの一種

Buxus microphylla var.japonica

七折坂層上部会津坂下町和泉

ムカシミズナラ(ブナ科)

ムカシミズナラ(ブナ科)

Quercus cf.miocrispula

天王寺層福島市飯坂町

オンパラカンバ(カバノキ科)

オンパラカンバ(カバノキ科)

Betula onbarensis

黒森層上部会津若松市黒森林道


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