教育福島0167号(1992年(H04)11月)-013page
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あることである。
具体的には、基本の割りげいこに重点を置き、特に、お辞儀をするとき座った姿勢を正しくすること、頭を下げるとき、相手を敬う心を忘れないことの二点に注意をしている。
また、客の心得として、干菓子のいただき方を学び、おしいただいて感謝してからいただくことを身につけ、それが習慣づけられ、自然なこととして日常生活に生かせるよう努力している。
茶道は今日、日本の伝統文化の一つとして海外にもその豊富で総合的な内容が認められてきている。本校に在学中の留学生も大変な関心を寄せ、現在、茶道部に所属して、日本文化を吸収すべく点前作法の習得にはげんでいる。
この礼法指導を契機として、日本の生活文化のすべてを見直し、再評価し、国際人として世界に通用する作法を習得したいという生徒が出はじめたのは喜ばしい限りである。また、まだまだ少数派だとしても、普段の学校生活の中でのあいさつやお辞儀等に感謝する心が感じられるようになってきた。礼法指導を通じて身につけた礼儀等をさらに日常生活の中に生かし、うるおいのある美しいものにしたいものである。
なお、この礼法指導は、芸術文化推進事業の計画段階では、平成二年度、三年度の二か年の予定で始まったものである。外部講師に頼らなければならない事情や謝礼の都合から、継続することは考えていなかった。しかし、年度始めの、ホームルーム活動計画立案の段階で、継続の要望が強く出され、今年度も続けることとなった。
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茶道礼法指導
四 おわりに--成果と今後の課題
今回の事業を推進するに当たって心がけたことの一つは、生徒の自発的、主体的な参加活動を重視するということであった。
そのため、生徒自身の芸術文化活動を大いに奨励した。展示コーナーという活動の場所を提供し、キャンバスや額縁、礼法指導のためのお茶用具などを購入したのもそのためである。
これらに触発された生徒たちの動きがしだいに目に見える形をとってきたのは前述のとおりである。
一昨年の翠園祭(学校祭)では、四季折々の景色を表した、「乙女が丘の四季」と題する、べニヤ板二十四枚分の大きなはり絵を残した。(その後屏風にして現在も鑑賞している。)
今年の翠園祭では、「地球を大切に」のスローガンを掲げ、地域の方々の協力を得て、空き缶十万八千個を使った巨大壁画を制作することにしている。
今春の卒業生は、卒業公演というこれまでにない活動を見せてくれた。卒業生の有志が、町の文化センターを会場に数百人の観客を集めて、朗読劇や影絵劇を上演したのである。芸術文化に対する関心の高まりが結実したものと考えている。
また、本校のボランテイア活動は年々活発となり、その態様も組織的、継続的となり、活動内容もより充実してきているが、今回の「創造性豊かな魅力ある学校づくり推進事業」の、友情を育て思いやりの心を深める試みや、茶道の和敬の精神が、こうした面にも現れてきたものと喜んでいる。
人間性がしだいに失われ、部活動にも学校行事にも参加したくないという生徒が増えつつある状況の中で、こうした試みを継続的な形で「豊かな心を持ち、たくましく生きる人間の育成」にどう結びつけていくか、次のステップに移るに際して真剣に考えなければならない課題である。
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乙女が丘の四季
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ボランティア 老人ホーム慰問
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