教育福島0167号(1992年(H04)11月)-014page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

「基礎的・基本的事項の定着を図るための指導計画、指導方法の改善」

−基本的生活習慣の確立と、興味・関心、意欲を引き出すわかる授業の実践−

文部省研究指定校(平成2・3年度)

福島県立四倉高等学校

 

一 主題設定の理由

「基礎・基本」の概念を、「社会の一員として生きていくために必要なもの」で、「心身共に健康で調和のとれた人間となるために必要な生活習慣、知識・技能及び判断力」であるととらえた。その上で教科ごとに高校三年間で定着を目指したい具体的なことがらを「基礎的・基本的事項」と考えることとした。また、その定着を図るためには学習指導の工夫と同時に、生徒の学習習慣の確立が必要と考え、研究実践の副題を「基本的生活習慣の確立と、興味・関心、意欲を引き出すわかる授業の実践」とした。

二 研究体制と組織

全職員参加の体制の中で、研究方針・内容・計画などの原案を作成することなどを目指して校長、教頭、事務長、各部代表、各教科代表、各学年代表から成る研究推進委員会を設置した。

また、その中に研究班として調査班、基礎・基本班、評価班、基礎学力テスト班、自主教材班、基本的生活習慣班を設けるとともに、研究推進委員会がより機能的に活動できるよう、審議する内容を事前に検討することを任務とする研究推進小委員会を追加設置した。

三 研究方針

研究主題に迫るために各教科等で具体的なテーマを設定した上で「基礎的・基本的事項」を明確にするなど、全教科・全職員で研究を進めることにした。また、各教科共通の研究内容として「基礎的・基本的事項の精選と教材の再編成」と「評価の工夫」を取り上げた。なお、「自主教材の作成」、「基礎学力定着テストの実施」などは各教科の独自性に委ねることとし、研究授業を実施して研さんをつむことにした。

四 研究実践の概要

1 基本的生活習慣−遅刻指導−

学習参加の習慣を確立すべく、遅刻者数の減少を目指した。個人遅刻カードの導入、教育相談、三者懇談や生徒会による遅刻防止啓蒙、学年やクラスでの遅刻指導の結果、遅刻者数は減少した。特に、個人遅刻カードは、遅刻回数に応じた色別にして遅刻理由を明記させたことが、生徒に反省の気持ちを持たせる上で効果があり、教育相談等での内面に迫る指導の糸口とすることができた。

2 国語科

基礎的・基本的事項を、新聞に対する認識を持ち、漢字の読み・書き・意味を理解すること、内容を把握すること、とした。授業では、分野別(社会面・経済面等)の記事を読ませたり言葉について調べさせ、社会情勢、時宜にあった記事や教材と関連のある記事を取り上げた。これと並行して一年次には漢字テストを、二・三年次にはコラムテストを、更に漢字テストは二・三年次の“定着テスト”に発展させて繰り返した結果、コラム程度の文章は読めるようになり、内容もほぼ把握できるようになった。

3 社会科

基礎・基本を、憲法の基本的精神を理解することに絞り、履修する社会科の各科目で研究の対象とした。「現代社会」を土台とし、二・三年次の「地理」「世界史」「日本史」「政治・経済」にわたり系統的に学習できるよう「基本的人権の尊重」を意識して年間指導計画を作成、各科目独自の視点に立って授業を展開した。その中で生徒に文章を書かせることや情意面を積極的に評価することは有効であること、憲法の精神を社会科のどの科目の授業にも取り入れられることがわかった。

4 数学科

最低限必要とされる事柄の定着を

 

遅刻者の推移表(平均値は総回数を在籍数で割った数)

 3年生2年生1年生平均
平成元年度3,0213,7711,4508,2429.2
平成2年度2,8921,8031,2315,9266.3
平成3年度1,2831,0999803,3623.7

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。