教育福島0167号(1992年(H04)11月)-015page
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ねらって、「基礎テスト」を繰り返し、結果の分析にS−P処理を導入した。その処理データを形成的評価として捕え、生徒に対する評価と指導方法などに関する教師側の自己評価の二方向から考えてみた。注意係数の高い問題を分析、同時に注意係数の高い生徒の答案から間違いの原因を探り、次の指導計画の作成と個別指導に役立てた。数学が嫌いな生徒は多いが、全体的に学習意欲や得点の分布が向上した。
5 理科
基礎的・基本的事項の精選、自主教材の作成、評価の工夫の面から研究主題に迫ることにした。
(1) 基礎的・基本的事項の精選では、観点を、身近な事象・自然・観察・実験・実習、教養となるものを多く取り入れて授業に余裕を持たせることとし、年間指導計画を作成した。
(2) 理科四科目で計四十一項目の実験と実習に関するノートを作成した。
(3) 情意面の評価と認知面の評価の相関関係は、認知面の評価を考査の素点、情意面の評価をノートの提出状況、実験態度、授業態度、出席状況などとした結果、学力と評価は大きくは違わず、かつ、低学力者の救済もかねる情意面の評価は対象項目が多いほどよい、との結論に達した。
6 保健体育科
生涯スポーツの動機づけをねらって三年生を対象に選択制授業を導入した。技術の向上を図るとともに運動の楽しさを体得させるよう、種目ごとの到達目標を示し、学習日誌やゲームカードを活用させて生徒の積極的に参加しようとする意欲を引き出すための授業を展開した。その結果、選択制では技術も向上し、活気ある授業ができるということが確かめられた。
7 芸術科
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音楽では、アルトリコーダーとギターの奏法に関するわかる授業について研究実践した。年間指導計画にリコーダーとギターの指導計画を位置づけたことにより指導がしやすくなり、自主教材の活用と自己評価表を記録させることにより、意欲的に授業に取り組む生徒が多くなった。
美術では、授業を実施する上で不可欠の知識、表現方法、用具の用法習得を基礎的・基本的事項とした。美術Iを基礎・基本学習の場、美術IIを実践学習(遊びの要素を含む学習の場)として授業研究を進めた。特に、授業に取り組む意識を高めるため、授業日誌を導入して自己評価や次時の目標などを記入させたことは効果的であった。
8 英語科
中学校必修の単語を含む基本的な単語を定着させ、中学校で扱う文法事項・語法を用いた英文を読み取れる力をつけることにした。第一段階では、毎授業時間に基礎単語の練習を行い、合格基準を示して週一回の定着テストを実施した。検証のためのテスト結果では、正答率は一割程度上昇した。第二段階で改訂を行った基礎構文に関する自主教材も使用し、基本文確認テストを通してその定着に努めた。
9 家庭科
被服領域では、基礎縫いの習得を目指した。自主教材「基礎縫いガイドブック」を活用しながら複数教員による班別学習指導、ミシン講習会などを試みた。定着度テストの結果では、かなり高い定着率を示した。
食物領域では、正しい切り方の習得を目指した。生徒の知識面も確認し、実習に重点を置いた内容の精選を行い、実習指導と検定受験の指導を通して技術力の向上を図った。
また、両領域で生徒の学ぶ心を育てるために評価の方法を改善した。
10 商業科
興味・関心が持続する「わかる授業」の実践を目指した。学習内容を基礎的・基本的事項に絞り、興味・関心を引き出す動機付けとした。授業研究は小テストを実施し、形成的評価により理解度を確認しながら展開した。簿記四級の資格取得を目指す生徒には課外授業で対応し、成果を収めた。
わかる授業の実践
五 研究の成果と今後の課題
教科等で程度の差はあるが、研究主題・副題に沿った成果をあげることができた。しかし、具体的な取り組みが多すぎたために研究が深まらなかったという反省もある。今後の課題は、形成的評価を積極的に取り入れることと進路指導面から学習意欲を高めることである。実践過程で得た職員の切瑳琢磨の姿勢を保ちながら今後も研究を深めていきたい。
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