教育福島0167号(1992年(H04)11月)-019page

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立性を培う契機にすることに加えて、児童生徒の心身に関する不安を早期に発見することにあります

(3) 歯周疾患の増加

学校保健統計では児童生徒の歯周疾患は、「その他の歯疾」として表され、漸増傾向にあります。

しかし、各都道府県学校歯科医師会等の研究調査によると、小学校高学年から歯肉炎として既に発症し、中・高校生では約五割に達する頻度で罹患しているとされています。

歯周疾患が喪失歯の主要因であることから、小学生後期から中学生後期にかけての歯肉炎の予防が重要であり、そのためには、日ごろからの正しい歯みがきの指導が行われる必要があります。

また、現代は臭気に敏感な時代なので、口臭恐怖等により学校不適応にならないような指導の配慮も必要です。

 

(4)心疾患の漸増

 

(4)心疾患の漸増

学校において、心疾患をもつ児童生徒に対しては、管理指導中または経過観察の者を含めて、教育活動への参加が極度に制限されている場合があります。

しかし、児童生徒が人間形成を図る上で過度の制限は望ましいことではなく、該当児童生徒が適切に学校生活に適応できるように、保護者や医師などの関係者と連携を図るなど適切な対応に努める必要があります。

(5) アレルギー性疾患の一般化

学校保健統計にはアレルギー性疾患の検診項目はありませんが、児童生徒に普遍的に認められるアレルギー性疾患の多様な症状が、眼科、皮膚科、耳鼻咽喉科の検査結果として報告されております。

したがって、アレルギー性疾患に対する教職員や児童生徒の無理解が教育活動への積極的参加を阻害し、学校不適応の誘因にならないよう、実態把握に基づく適切な対応が必要です。

 

2 顕在化してきている健康問題

(1) 児童生徒の体力の低下

近年、児童生徒の遊びは身体運動を伴わないことが多くなり、様々な活動の場でも労苦に耐える必要性が少なくなってきています。

このことは、児童生徒の体力や適応機能の発達に少なからず影響しております。

児童生徒の体力診断では、背筋力と立位体前屈の数値の低下傾向がみられるため、直立姿勢を維持する筋力や身体の柔軟性を向上させるための取り組みが課題となっています。

(2) 対人関係の不適応

社会への適応の基礎となる対人関係は、児童生徒の時期に急激に発達するものですが、「遊び」経験の乏しさからか、現在の多くの児童生徒が対人関係を広げることができずに苦しんでいるといわれます。

このような児童生徒に対して、社会への適応が円滑に行えるようにするため、発達段階に応じた適切な指導が必要です。

(3) 薬物等依存の問題(表2)

近年、喫煙や飲酒の低年齢化が指摘されていますが、児童生徒の喫煙や飲酒は、シンナーや覚醒剤等の薬物使用と相関が高いとする指摘があります。

したがって、学校における薬物等乱用防止に関する指導は緊急性が高いので、たかが喫煙、飲酒くらいと

 

表2 シンナー等有機溶剤乱用者の検挙人員の推移(昭和62〜平成3年)

 

年次
総数(人)
626323
総数(人)25,47227,82025,23525,91323,485
少年20,99123,12221,55222,36620,125
中学生3,3983,9403,5883,3452,675
高校生2,4613,0623,0273,4673,265
その他の学生,生徒491509640617584
有職6,8847,8197,3258,1917,824
無職7,7577,7926,9726,7465,777
成人4,4814,6983,6833,5473,360

 

 

 


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