教育福島0167号(1992年(H04)11月)-018page

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特集2

 

学校保健・学校安全の充実

−保健体育課−

 

一 はじめに

 

学校教育では、児童生徒が生涯を通じて、健康で安全な生活を営むことができる能力や態度を育てることが重要であります。

このため、保健・安全に関する指導を進めるに当たっては、児童生徒に「自他の生命の尊重」を基本理念として認識させるとともに、児童生徒の発達段階や個人差に応じた個々の健康の保持増進に関する課題を体系化することによって、自ら健康な生活を実践するための行動様式を確立させることが大切です。

そこで、現代の児童生徒の健康に対する今日的課題を踏まえながら、各学校における保健教育・安全教育の一層の充実について工夫を図る必要があります。

 

二 学校保健の充実

 

今日のような科学技術の進歩や経済の発展は、大きな社会の変化を生み出し、それに伴う物質的豊かさや生活水準の向上は、生活環境や生活様式を大きく変貌させています。

しかし、このような変化は、児童生徒の心身を発達促進させている反面、憂慮しなければならない健康問題をもたらしています。

 

1 学校保健統計にみる主な健康問題

(1)裸眼視力一・〇未満の者の増加

児童生徒にとって適正視力の維持が重要であるにもかかわらず、近年は裸眼視力一・○未満の児童生徒の比率が高くなっています。また、中・高校生になると、裸眼視力〇・三未満の者が学年進行に伴って増加傾向を示し、特に都市部の学校で眼鏡使用生徒が増加しています。 (表1)

(2) 肥満傾向の者の増加

肥満傾向の児童生徒は年々増加していますが、肥満度比率は成長過程に伴って低下しております。

このような肥満傾向は、小児成人病などをもたらすのをはじめ、敏捷な動作を阻害し運動ぎらいや「いじめ」の対象となるなど、様々な問題に結び付くことが指摘されております。

平成四年度から児童生徒の健康診断項目に「尿糖」が加えられた背景には、成人病の誘因である肥満を防止するために生活管理の自

 

表1 平成3年度児童・生徒及び幼児の主たる疾病・異常被患率の全国・本県の順位比較(男女合計) 福島県教育委員会

 

種別
順位
幼稚園小学校中学校高等学校
全国本県全国本県全国本県全国本県
疾病・異常%疾病・異常%疾病・異常%疾病・異常%疾病・異常%疾病・異常%疾病・異常%疾病・異常%
1むし歯80.81むし歯78.81むし歯89.34むし歯93.14むし歯89.64むし歯91.73むし歯93.01むし歯95.96
2裸眼視力1.0未満21.58裸眼視力1.0未満18.05裸眼視力1.0未満21.68裸眼視力1.0未満24.78裸眼視力1.0未満43.60裸眼視力1.0未満41.49裸眼視力1.0未満57.54裸眼視力1.0未満54.25
3へんとう肥大4.59へんとう肥大9.08その他の歯疾8.84その他の歯疾7.30その他の歯疾7.54その他の歯疾9.44その他の歯疾5.51その他の歯疾4.38
4鼻・いん頭炎2.25結膜炎2.30鼻・いん頭炎6.74へんとう肥大4.62鼻・いん頭炎4.55へんとう肥大3.41鼻・いん頭炎2.95結膜炎2.17
5寄生虫保有者1.88その他の歯疾1.83肥満傾向2,64肥満傾向2.63色覚異常2.12色覚異常3.07色覚異常1.88色覚異常1,74
6その他の歯疾1.04肥満傾向1.47へんとう肥大2.61色覚異常2.42蛋白検出の者1.92結膜炎1.97蛋白検出の者1.73蛋白検出の者1.67
7その他の耳疾・異常1.03その他の耳疾・異常1.19その他の耳疾・異常2.55結膜炎2.32その他の鼻・いん頭疾患・異常1.84その他の鼻・いん頭疾患・異常1.46その他の鼻・いん頭疾患・異常1.62その他の疾病・異常1.25
8その他の疾病・異常0.75慢性副鼻腔炎・口腔の疾病・異常伝染性皮膚疾患0.36
0.36
0.36
寄生虫卵保有者2,43鼻・いん頭炎1.75結膜炎1.77肥満傾向1.27肥満傾向1.21その他の眼疾・異常1.14
9肥満傾向0.73アデノイド0.30色覚異常1.99その他の耳疾・異常1.30肥満傾向1.76蛋白検出の者1.18結膜炎1.05へんとう肥大・肥満傾向1.04
10ぜん息0.68その他の背柱疾病異常・胸部異常0.25その他の鼻・いん頭疾患・異常1.94その他の鼻・いん頭疾患・異常0.79その他の耳疾・異常1.29慢性副鼻腔炎0.79その他の眼疾・異常0.88鼻・11いん頭炎0.84

 

 

 


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