教育福島0167号(1992年(H04)11月)-027page

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子どもらと共に

鉄真由美

 

四月に着任のあいさつをしたことが、つい昨日のことのように思い出されます。

 

私が教師として教壇に立つようになってから、一年半が過ぎましたが、昨年の四月に着任のあいさつをしたことが、つい昨日のことのように思い出されます。

初任者とは言え、先輩の先生方と同じように一つの学級という集団をまとめていけるかどうか、当初は不安も多かったのですが、毎日の生活の中で子どもたちの明るさ、素直さに触れ、少しずつ不安な気持ちが消されていったような気がします。

毎日がとぶように過ぎていく中で私が学級担任として、子どもたちと接する時に心がけてきたことが二つあります。

その一つは、「笑顔を忘れない」ということです。私は、四月から子どもたちの内面をもっとよく知りたいと思い、日記を書かせてきました。日記には家のことや友達のこと、自分のことなど、本当に様々な出来事が書いてあり、中には私あての手紙のようなものもあります。

子どもたちのことがようやく見えてきた五月のある日、一人の女の子の日記にこう書いてありました。

「わたしは、先生が朝からにこにこしていると、今日は何か楽しいことがあるのかな、と心がわくわくします。先生がにこにこしていると、私もにこにこ顔になります。」

その女の子はクラスの中ではおとなしい方で、そういう子が書いたということで余計に心に残るものがありました。その日記は、毎日顔を合わせている教師の表情を子どもはしっかり見ているんだ、また教師の何気ない表情や態度の一つ一つが、子どもたちに大きな影響を与えているんだな、ということを改めて考えさせてくれました。

二つ目は「毎日クラス全員の子どもと話をする」ということです。朝教室に入っていくと、子どもたちは待ちかねたように私に話しかけてきます。でも中には恥ずかしそうに黙って私のことを見つめているだけの子もいて、そういう子には私の方から話しかけ、スキンシップに心がけ、毎日全員と言葉を交わすようにしてきました。学級担任にとっては子どもは大勢いますが、クラスの子どもたちにとっての先生は私一人だけなんだ、ということを常に頭におきながら接していきたいと考えています。

本当にかけ足で過ぎていった一年でしたが、笑ったり、怒ったり、悩んだりしながら、子どもたちと一緒に私自身も大きく成長できたような気がします。今後も一年目の新鮮な気持ちを忘れることなく前進していきたいと思います。

(郡山市立桃見台小学校教諭)

 

一生分の信頼関係

渡邊亮

 

ールの顧問として、部員四十七名を相手に、毎日充実した日々を過ごしている。

 

私が田村高校に赴任して早くも三年になる。現在は、今年新設された体育科の生徒四十名の担任として、またバスケットボールの顧問として、部員四十七名を相手に、毎日充実した日々を過ごしている。

バスケットボール部顧問になって三年目、最近ではようやく自分の考えが以心伝心生徒たちに伝わるようになってきた。振り返ってみると、初めてこの学校に来て顧問になったころ、生徒たちの考えていることがわからず、随分苦労し、練習のほとんどの時間をそのことに費やしてしまうこともしばしばであった。

私は新チームになった時のミーティングで、いつもこう言っている。「君たちとはたった二年と数カ月しかバスケットコートでは一緒にいない。しかし、この学校を卒業して私と会わない生活になっても、心のどこかで田高バスケ部のことを気にかけたり、また、何十年先になるかわからないけど、私が死んだ時に線香の一本でもあげにくる関係を『今』作らなければならない。そのためには私がいない時にしっかり練習し、いつも信頼される選手にならなくてはダメだ。」

それがようやく理解されるようになったらしく、今では自分の出先でも「選手たちは今、学校で自分たちの練習計画に従って一生懸命に練習をしています。」と周りの人に断言で

 

 

 


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