教育福島0168号(1993年(H05)01月)-007page

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新年のあいさつ

新世紀ふくしまを担う人間の育成

福島県教育委員会教育長

渡辺忠男

 

明けましておめでとうございます。

 

明けましておめでとうございます。

皆様には、爽やかな新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。

さて、我が国の学校教育は、昨年、明治五年の「学制」に発布以来、百二十年を記念したところです。この間、我が国は、先進的な近代国家を目指し、国民の教育には、どの国にもまして力を注いできたところであり、今日、世界有数の教育水準を達成するとともに、社会の近代化や産業化を成し遂げるに至りました。

しかしながら、近年における時代や社会の急速な変化は、これまでの、ややもすると効率主義的な教育の在り方について、根底から反省や見直しを求めているところです。このような中で、個性の伸長を重視し、新しい学力観に立った新学習指導要領が小学校に続いて、本年は中学校でも実施され、学校教育の質的転換が着実に進められようとしております。また、子供たちが家庭や地域において、ふれあいや様々な体験を深めながら、健やかに成長できるようにとの願いのもとに、学校週五日制も昨年より実施されるに至ったところです。

このように、教育を取り巻く諸情勢は、これまでにない変化をみせており、本県教育行政も、いろいろと新たな課題に直面しているところです。

このため、県教育委員会としましては、国の文教施策の動向や県政の方向及び教育に対する社会の要請等を考慮しながら、西暦二千年を目標年度とする新たな視点と将来展望に立った長期教育計画の策定を進めてまいりました。

この新しい教育計画のもとでは、生涯学習体系への移行をはじめとする時代や社会の変化に対応した諸施策の積極的な推進を図り、明るく希望に満ちた二十一世紀の社会とそれを担う人づくりが何よりも重要な課題であると考えております。

このためには、まず、県民の生涯にわたる学習が円滑に行われるよう、身近な学習の機会や場の拡充を図るなど、十分な支援措置を講じ、ふれあいと生きがいに満ちた生涯学習の振興に努める必要があります。

また、学校教育においては、二十一世紀を担う心豊かでたくましい児童生徒の育成を図るため、子供たちに豊かな心や創造性を育む教育を積極的に推進するとともに、情報化や国際化等のこれからの社会の変化に主体的、積極的に対応できるよう必要な資質・能力の育成に努める必要があります。さらに、二十一世紀に向けて、本県が、文化の香りや精神的な豊かさに富み、活力に溢れた社会を形成するには、生涯学習を支援する観点にも立ちながら、潤いと個性に満ちた文化の振興や県民の活力を育む体育・スポーツの振興に努力する必要があります。このような新しい教育計画のもとでの諸課題への取り組みは、県政の基本目標である「二十一世紀の新しい生活圏----美しいふくしま----の創造」にとって極めて重要な意義を有しておりますので、本県の教育に携わる約二万四千人の教職員一人ひとりが、心をひとつにして、新しい教育計画の実現に向けて努力するよう切に願うところであります。

また、本県教育行政の抱える課題の中でも、特に、児童生徒の学力の向上と学校不適応の解消、平成七年の「ふくしま国体」に向けての競技力の向上を図ることは、まさに焦眉の急務となっておりますので、これらについて、県民の期待に十分応えることができるよう、本年も最大の努力を傾けてまいる考えです。

年頭に当たり、所信の一端を申し述べましたが、皆様の一層のご理解とご協力をお願い申し上げますとともに、本年もよりよい年でありますようご祈念申し上げ、あいさつといたします。

 

 

 


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