教育福島0168号(1993年(H05)01月)-011page

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4 本校の子どもの姿から

これまでの研究の成果として、達成感や成就感を味わいながら、自分の力を精一杯出して授業に取り組んでいる子どもが増えてきている。

しかし、その半面、学び取ったことをもとに自ら課題を設定し、解決していこうとする態度や、学び取ったことを適切に表現する力、友達の考えと自分の考えとを比較し、自分の考えを反省したり新たな視点から考え直してみたりする力は、まだ十分に身に付いているとは言い難い。私たちは、これらの問題点を解決することが、学び育つ子どもの実現につながっていくと考えた。

 

二 研究の見通し

 

日々の授業において、子ども一人ひとりの興味・関心や意欲を高めたり、見方・感じ方・考え方を生かしたりしながら、集団の中で共に磨き合う場を工夫して設けていけば、自ら学ぶ意欲と主体的な学習の仕方を身に付け、よりよく生きるために必要な知識・技能・態度を求め続ける子どもの姿が育つであろう。

 

三 研究の計画と組織(省略)

 

四 本年度の研究内容

 

三年次計画のまとめに当たる本年次は、『学び育つ子ども』を育てる授業の実現をめざし、新しい学力観に立って、授業実践を中心として研究に取り組んでいく。その内容としては、今、子どもたちに必要とされている力を焦点化した次の二点があげられる。

1 自ら進んで学びとる力の育成

一人ひとりの学習への願いや期待、興味・関心、追究への意欲、取り組み、学習の成果などを授業に取り入れ、一人ひとりが生き生きと確かに学んでいけるようにしながら、その子の可能性を十分に伸ばしていくように援助することが『学び育つ授業』を創りあげていくもとになる。そのためには、次のような視点から、授業を組織していくことが必要である。

1) 体験学習の重視

2) 一人ひとりの気づき、考え方を大切にした問題解決学習の重視

2 共に磨き合い、高め合う力の育成

一人ひとりの個性を大切に生かしながらも、学校という集団の中では、常により良いもの、より高い次元のものを求め、友達や教師と共に、その個性や一人ひとりの考え方などが磨き高められる必要がある。

さらには、磨き高め合う集団においては、その構成員一人ひとりがより良いもの、より美しいものをめざそうとする態度を育てておく必要がある。『主体的に学ぶ姿』も『共に学ぶ姿』も常により良いもの、より高い次元のものを求め続けようとする価値観が発動したときに初めて意味あるものとなる。この意図のもとに次の二点で研究を進める。

1) 個人が集団の中で磨かれ高められる学習の重視

2) 個人の気づきをもとに望ましい価値が求められ、実践される学習の重視

 

五 研究経過(省略)

 

六 研究の実際

 

 ブロックテーマ
対象へのかかわりを深め全身で学ぶ授業
共に学び合う良さを味わう授業
追求の楽しさを味わい共に高め合う授業

 

1 低学年ブロック研究

〈その子らしさを出し切る〉

1) 子どもの気持ちを大切にした学習活動

子どもたち一人ひとりの興味・関心、願いが最大限生かされた学習が展開された時、活動は真に子ども主体のものとなり生き生きとする。そのような活動の連続を生み出す力がやがては自立的に学び続ける人間を育成する基盤になるものと考える。そのために次の内容を追究していった。

ア 一人ひとりの興味・関心、意欲を満たす活動の場や時間の保障

イ 一人ひとりの取り組み方や考え方、感じ方などについての適切な把握

ウ 一人ひとりに対する適切な助言、励まし、賞賛

2) 確かな表現力

活動の中で受けた感動が大きければ大きいほど子どもたちはそれを表出せずにはいられない。生き生きとした活動体験に浸らせながら、その子なりの表現方法で感情を表出したり、学び合う友達同士で思いを共有し合ったりする場を設けていった。

また、活動の中で得た一人ひとりの気づきは、共有し合い、深めたり広げたりしてこそ集団で学ぶことの意味がある。そのための情報交換の手段となる表現力が確かであればあるほど、学びを共有する喜びも実感できる。そこで、次のような子どもの姿を育てていくことに努めた。

○ 感動を素直に表情や言葉に表出できる子ども

○ 相手に分かるようにはきはき話したり、その子なりの方法で表現したりできる子ども

 

 

 


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