教育福島0168号(1993年(H05)01月)-012page
〈楽しく学び合う〉
1) 友達の良さに気づく子ども
学び合いの中では、学び合う相手としての友の存在が大切になる。友達の見方、感じ方、考え方の中に自分にはない良さを見い出し、さらに確かな、さらに豊かな学びへ高まっていく喜びを味わわせたいと考えた。
ア 失敗体験の重視
イ 多様な情報交換の場の設定
ウ 温かい雰囲気の学級づくり
2) 身近なものの営みに気づく力
今まで何気なく見ていたものの中に意外な事実や深い意味を見い出した時、子どもたちは驚きや感動の中で知的好奇心を高め、身の回りを一層見つめていく。それらの子どもたちの気持ちを生かし、体験活動に浸らせることで、立ち止まって考えたり、話し合ったり、もう一度見つめ直したりしながら気づきの目を開いていく子どもの姿をめざしていった。
※実践事例
2 中学年ブロック研究(省略)
3 高学年ブロック研究
〈その子らしさを出し切る〉
1) 自らの問いに立ち向かう学習活動
○ 単元・題材を見通した課題づくり
○ 課題意識を高めるための適切な教材の開発と提示の工夫
○ 個別の援助や助言
2) 確かな表現力
〈学び高め合う〉
1) 友達の良さを生かす心
○ 多様な学習形態の工夫
○ 活動時間と場の保障
○ 認め合う学級集団の育成
2) より良いものを求める心
※実践事例省略
七 研究の成果と今後の課題
1 研究の成果
1) 自ら進んで学びとる力の育成について
○ 子どもたちが新たな教材と出会い、見つけた問題をもとに課題を作っていったり、子もたちの興味・関心や意識の流れをとらえて身近な課題を設定していったりしたことにより、意欲を高めながら課題解決していこうとする姿が多く見られるようになってきている。
○ 十分に直接体験できる授業を組織したことで、新たな気づきや考えを持ったり、自分で工夫したりしながら活動をふくらませることができるようになってきている。
○ 一人ひとりに既習の学習内容を生かしながら粘り強く課題解決していける場を設定していったことで、自分の力でやり遂げた喜びを実感している子が増えてきている。その結果、分かったことや発見したこと、できるようになったことなどを自分なりに表現していこうとする姿が見られるようになってきている。
2) 共に磨き合い、高め合う力の育成について
○ 同一の考えや方法の子ども同士による学習形態を取り入れながら学習を進めていったことで、互いの情報交換を密にしながら、自分の考えを振り返り、軌道修正しながら取り組んでいくことができるようになってきている。
○ 個人、または小グループから全体で話し合ったり、考察し合ったりする場を意図的に設けていくことで、子どもたちは、友達と自分の考えを比較し、友達の良い考えを取り入れたり、新たな気づきを持ったりすることができるようになってきている。
○ お互いの考えを認め合ったり、時には、考えをぶつけ合ったりして、共に学び合う良さや価値を実感し、次の学習に立ち向かおうと意欲をさらに高めている姿が多く見られるようになってきている。
2 今後の課題
前述の成果を実感しながらも、残された課題も少なくはない。その中から、主なものをあげると次のようになる。
1) 子どもたちが一層、興味・関心を持ち、意欲を高めながら学習できるようにするために、教材の精選や学習の流れをどうしていくか。
2) 子どもたちが共に学び合う中で、表現力をさらに高めるために、一人ひとりの学習のあり方や全体での話し合いのあり方について、どうしていくか。
3) 子どもたちの興味・関心や態度、見方・考え方、達成感・成就感などを、学習のどの場で、どのような方法で評価していくか。
以上本年次研究の成果と課題を述べてきたが、次代を担う子どもたちが、社会の変化に主体的に対応しながら、心豊かでたくましい人間として生き抜いていけるように、今後とも、新しい学力観に立って「学び育つ子ども」の育成に向けて、研究をさらに充実・深化させていきたい。