教育福島0168号(1993年(H05)01月)-014page

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特選入賞論文

 

言語事項を中心に据えて豊かな言語感覚を育成する指導法に関する研究

−新しい学力観に立った学習活動の展開−

石川郡平田村立蓬田小学校教諭 川崎潤

 

はじめに

 

はじめに

 

本論文は、平成二年度福島県公立幼稚園・小・中・養護学校教職員研究論文に発表した「言語事項を中心に据えて豊かな言語感覚を育成する指導法に関する研究--理解領域の指導を通して-」(川崎1990)の継続研究の結果をまとめたものである。

 

一 主題設定の理由

 

平成二年度までの研究では、平成四年度の学習指導要領改訂までの移行期間であることを念頭に置き、国語科の指導において、国語科の指導の核となるものは言語事項であるという立場から、文章を正確に理解したり、表現したりするための基礎となる言語事項を身につけさせ、豊かな言語感覚を養う指導法を追求しようと考え、実践した結果、次のようなことが明らかになった。

○ 国語科の指導の系統性

○ 言語事項を中心にした教材分析の方法

○ 正しい読み取りを支える学習展開の方法

○ 意見の根拠の明確化の方法

○ 理解領域から国語科全体への波及効果

また、主な課題は、次のような点である。

【児童中心の授業への質的改善】

○ 授業での教師発言が多すぎる。

授業記録を綿密に分析した上で、授業の質的改善を目指す。

【理解領域から国語科全体への総合的な指導】

○ 理解領域で学習した内容を表現領域にも生かして、総合的な指導を行っていく。

【自己実現への援助としての国語科の学習】

○ 国語科の学習を、机上の学問にしないためにも、授業で学んだことを、児童の生活の中に生かしていける場面の設定が必要である。

これらは、とりもなおさず、現在求められている新しい学力観の基盤となる内容である。

つまり、これらの課題を追求する過程で児童が身につけるであろう、思考力、判断力、創造力、表現力を児童の生活の中で生きて働くようにしていくことが、児童の自己実現を支援することとなるのである。

特に、表現力の強化は、あらゆる場面において有効に働いていくであろう。

したがって、これらの課題を解決していけば、新しい学力観に立った学習活動が展開できると考え、本主題を設定した。

 

二 研究目標

 

国語科において、新しい学力観に立った学習活動を展開しながら豊かな言語感覚を育成するための指導方法を究明する。

 

三 研究仮説

 

(一) 基本仮説

国語科の指導において、理解したことを表現し、表現されたことを理解する活動を重視すれば、児童の生活するあらゆる場面で生きて働く思考力や判断力が形成され、豊かな言語感覚が育成されるであろう。

(二) 作業仮説

(1) 言語事項を中心に据えて、評価の機能を生かした教材研究を行えば、児童の実態に即して、指導の重点化が図られるであろう。

(2) 話し合いの際に、自分の意見の根拠を明確にして発表させれば、聞き手側が、自分の意見との異同を明らかにすることが容易になり、思考力や判断力が増すとともに意見の高まりがみられるであろう。

(3) 話し合いにおいて、たくさんの意見を聞いて児童それぞれが思考し、可能な限りのあらゆる意見を受容していけるようになれば、学級の雰囲気も親和的になり、物事を多角的に見ることができるよう

 

 

 


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