教育福島0168号(1993年(H05)01月)-016page

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○ 正答率と注意係数を平面化すると、正答率が高く、注意係数が低くなってきた群の構成員が多くなったことがわかり、指導の効果が上がったことがうかがえる。

(三) 教材研究

(1) テキストプリント(資料2)

○ 教材文を別刷りのプリント(テキストプリント)にし、自由に書き込みができるようにして配布することを継続してきた結果、書き込みの観点を与えなくても、児童は、さまざまな観点から書き込みを行い、話し合いの際の根拠にすることができるようになった。

○ テキストプリントに行番号を付したことにより、発表の際、明確に、問題となる本文の場所を指摘することができ、本文を探すのに途切れがちだった話し合いが円滑になった。

(2) 教材分析表

○ 教材分析表は、従来のものより項目に自由度を増す改善を行ったため、柔軟に分析することができ、それをもとにして事前テストを作成し、児童の実態をとらえたことで、より確かな言語事項に関する評価が可能になった。

(四) 検証授業

(1) 「花と手品師」

○ 発表の際に、前の意見を大切にする、自分の発表の根拠を明確にするという注意事項を頭におきながら話し合いが展開された。

(2) 「やまなし」

○ 話し合い形式を重視した授業展開を試みた。

○ 班毎に作成した発表用資料を見ると、情景を詳しく読んでいこうとする態度がうかがえる。

○ 図式化して分かりやすくしようとする班が多かった。(資料3)

 

資料3 「やまなし」班別発表資料例

かに」はモデルで表し、「かわせみ」や「やまなし」は実体に近いものとした。

 

「かわせみ」等は、その実際の形状等が大きな問題となるが、親子の「かに」は、特別問題にならない。児童は、その点をも考えにいれた上で、「かに」はモデルで表し、「かわせみ」や「やまなし」は実体に近いものとした。

学習を進める上で、この捨象作業は重要であり、児童が自らその作業を行ったことは、読み取りが深まっていることを示している。

(3) 「ガラスの小びん」

○ 話し合いを重視した授業であった。個人学習からグループ学習、そして全体へと広げていった。

○ 本時までの間に、個人の初発の主題を簡単にまとめた、「主題一覧表」、その根拠も詳しく述べたレポート「主題に関する研究集」及び班毎の発表資料を作成した。

その結果、本時,の話し合いで、他の意見との比較検討や、自分の意見の深まりなどを自覚でき、非常に有効であった。(資料4)

○ 児童は、以前まで、親子関係は絶対的な優しさの上に成り立っていると思いこんで物語を読んでいる傾向があった。

しかし、そこはかとない父への憎悪等、思春期に避けて通れぬ感情があることもまた事実である。

今回、児童はその点で、素直に文章を読み、さらにその深みを増すという操作が為されていて、興味深かった。

○ 読書の範囲を広げるため、授業の終末の段階で、読書案内を配布した。

 

資料4 「ガラスの小びん」班別発表資料例

(4) 検証授業全般

 

(4) 検証授業全般

○ 検証授業の授業記録を分析してみると、検証授業の回数を重ねる毎に話し合いのスタイルができてきたことがわかる。

○ 机間巡視による個人差に応じた指導は、児童の反応を的確にとらえるとともに、すべての児童を話し合いに参加させ、成就感を与えることができたという点で、たいへん有効であった。(資料5)

○ 教師の発言率と児童の発言率を比較してみると、教師発言率は、「花と手品師」と「ガラスの小びん」では四三・八%(二八回)から二九・八%(一七回)に激減し

 

 

 


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