教育福島0168号(1993年(H05)01月)-021page

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資料2 学習カード

よりよい動きになり、訓練心拍数を上回る記録がされた。(資料3)

 

よりよい動きになり、訓練心拍数を上回る記録がされた。(資料3)

(5) 一つのものをみんなで協力してつくり出し、工夫し合うこの活動は、自分達の好きな音楽のリズムに合わせてとんだ喜び、完成したときの成就感、新しいものに挑戦していく事が、技能が伸びた喜びなどを味わわせることができた。

3 研究仮説の検証、考察

(1) 選出し、とび方を工夫しながら行うリズムなわとびは、どの児童にも成就感、達成感を味わわせることができた。また、授業を進める中で自然と技能も身につき、大変効果的な教材であったと思われる。授業後に音楽を聞き直したり、とび方を修正するための話し合いを行ったり、力を高めるために黙々と練習する姿はめざす姿に近づいてきた。これらのことからこの教材は適当であったと思われる。

(2) 児童一人一人の最大の心拍数、安静心拍数からカルボーネンの式を利用して訓練心拍数を算出し与えたことは、主体的、意欲的な学習への取り組みを導き出すことができた。また、運動量を増やせば心拍数も増えるという、運動量と心拍数の関係をはっきりとつかませることができた。また、このくらい体を動かすとこのくらいの心拍数が得られそうだという予測する力も少しずつ高まっていったと考えられる。これらのことから心拍数の利用は有効だったといえよう。

 

資料3 心拍数の移り変わり

運動後の心拍数を数えているところ

 

運動後の心拍数を数えているところ

運動後の心拍数を数えているところ

 

(3) 児童一人一人に心拍教やスポーツテストのデータを与えたことによって、自己の体や体力に関心を持つようになってきた。授業実施後の体力つくりの様子を見ても、なわを小脇に抱えて教室を飛び出して体力つくりに積極的に取り組む姿が多くなってきた。

 

五 成果と問題点

 

1 成果

(1) どの児童も意欲的に楽しくリズムなわとびの学習に取り組む中で自然と技能を高めることができた。

(2) 全体のめあてを達成するためにグループのめあてを考え出し、そのグループのめあてを達成するために自分はどうしたらよいかという観点で個人のめあてを考え、そのめあて達成のために努力実践し、反省を加え、また新たなめあてをたてるといった体育学習の学び方の基本が身についてきた。

(3) 訓練心拍数を与えたことは、児童側にとっては、どのくらい運動したらよいかという運動量の指標となり、指導者側には、児童一人一人の学習に対する意欲の一部を測ることができるものであり、情意面の評価に役立った。

(4) リズムなわとびの学習を通して、以前より自己の体や体力に関心を持たせることができた。

(5) 体力つくりに取り組む姿が以前より自発的、自主的になってきた。

2 問題点

(1) 学習を進める上で技能の低い児童への配慮は必要だが、技能の高い児童に対しても運動強度だけでなく、運動難度も運動負荷として含めてやるべきだろう。

(2) 心拍数の計測は、運動の前後に限られ、運動中には計測できない。また、児童の計測は正確さが疑問視される。

(3) なわとび大会のもち方にも一層の工夫が必要である。

 

 

 


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