教育福島0168号(1993年(H05)01月)-044page
教育センターから
個を生かす学年・学級経営に関する研究
学校経営部
一、研究のねらい
学年・学級は、児童生徒の学習や生活のすべての基盤であり、主体性や社会性の育成の場、個性伸長の場でもある。
本研究は、このことを基底に、児童生徒一人一人の個性が生きる学年・学級経営の在り方を追究する。
二、研究計画
本研究は、平成二年度から三年計画で実施している。第一年次は「個を生かす学年・学級経営」に対する実態調査、第二、第三年次は個を生かす具体策を完成する。
三、第一年次の研究(平成二年度)
本研究では、全国教育研究所連盟福島大会(平成二年)において合意された次の視点を手がかりに研究を進めた。
個を生かす四つの視点
視点一 個の存在を認め、個の存在を大切にする内容・方法を明確にすること
視点二 個の特性をとらえ、生かす内容方法を明確にすること
視点三 認知面に偏ることなく、情意的側面との調和を考えた実践活動の在り方を探ること
視点四 個性豊かな生き方のための基礎・基本の習得を重視する内容・方法を探ること
実態調査は、四つの視点から実施した。視点二にかかる調査結果の例を次に示す。
○個の特性が生かされていると思いますか
・十分に生かされている 十二%
・生かされているとはいえない 八十四%
・ほとんど生かされていない 四%
*生かされていない主な理由は、・場の設定が難しい ・時間が十分に取れない ・指導の仕方が分からない ・特性の把握が難しい等である。
調査結果を大きくまとめると、「個性重視の理念は分かるが学年・学級経営上の迷いがある。」ということで、「方法がよく分からない」、また「指導も困難だ」としている。
これらの結果を基に、視点一〜視点四のそれぞれにアプローチする内容・方法を策定し次年度研究の方向づけをした。縮刷りの「それには」と「そのために」の部分である。
四、第二年次の研究(平成三年度)
(1) 「個を生かす学年・学級経営アイディア集」の作成
「個を生かす学年・学級経営」を行うには具体的な内容・方法を明らかにする必要がある。この観点から「いつ、どこで、だれが、何を、どのようにすればよいのか」について指導例や活動例を収集・開発し事例集としてまとめたものである。この事例集により、「個を生かす学年・学級経営」の在り方が具体的に分かるようにした。