教育福島0169号(1993年(H05)02月)-018page

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登山の帰りにカシミール方面に行きたいと大使館の人に相談したところ、大変な紛争地帯であり、旅行などとんでもないと厳しく拒否されてしまった。先日のテレビでは、ヒンズー教徒によるイスラム寺院の襲撃、破壊が報じられ、その対立は深刻さを増し国内全土に波及しかねない状況とか、登山の合間にかいま見た宗教は、魂の安らぎを説きながら懐には異教徒を受け入れない双刃の剣を隠し持っているものと感じた。

来年のヒマラヤ登山の準備に追われながら何とか紛争の沈静化を願っている昨今である。

(県立会津工業高等学校教諭)

 

明日への道しるべ

高橋真紀子

 

て、何も考えずになんとなく自分自身がここまで来てしまったような気がする。

 

「私、新採用なんです。」−この言葉の有効期間は一年間。そして、その満了となる日が刻一刻と近づいてきている。今では自分自身でも新鮮味が薄れてきてしまった言葉ではあるが、ようやく一年が経過するといううれしさよりも、この言葉を使えなくなってしまうということに対する不安の方が強いように感じる。「Time flies.」あっという間に過ぎ去った一年。自分自身何をし、何を残してきただろうか。仕事上やむを得ないことかもしれないが、仕事に追いまわされて、何も考えずになんとなく自分自身がここまで来てしまったような気がする。

昨年四月教育庁総務課に採用されてから今日まで、仕事を覚えるのに必死で、見通しもなく、余裕もなく、毎日が新しいことばかりで、目まぐるしいほどの変化に満ちていたような気がする。勤務して間もない頃は、電話のベルが鳴るたびにドキッとし、恐る恐る用件を聞くが、案の定、相手が何を言っているのかよく分からない。机の上もどんどん書類がたまってきてどう処理していいのかと途方にくれるばかり。そんな時、先輩が忙しい合間をぬって一緒になってたまりたまった机の上の書類を処理してくれた時は、先輩が「神様」のように思えた。その度に、一刻も早く「県職員」になるんだと心に誓った。

今の私にとって、生活の基本は仕事。そして私のこれからの人生は、県職員を志したときから、大好きなふるさと福島県のために全力を尽くすことに方向づけされている。だからこそ、何か自分の能力いっぱいのことを、綿々と流れ続け、決して絶えることのない「時間」の中で、精一杯試してみたい。時間に流されてしまわないよう、時間というものの自己管理をしながら。

一日二十四時間。食事・睡眠など義務的ともいえることに十時間、仕事に十時間費やすとすると自己管理できる自分のための時間は四時間。年間にすると約千五百時間もの時間。私は、この自分自身で管理することができる時間を、「職業人」である自分を実現するための時間として、有効に使っていかなければならないと考えている。そして、今、私は、この時間を二つのことに挑戦するための時間にしたいと思っている。

一つは、行政職員として当然わきまえておかなければならない行政法・法というものの考え方について学んでみたいということ。そしてもう一つは、常に心身をリフレッシュさせ、英気を養い、仕事への活力を見いだすため、好きなスポーツや旅行などを思い切り楽しんでみるということ。

この一年は、その時その時の仕事をかたづけることだけで精一杯だった私だけれども、これからは仕事の中で自分らしさを出していけるように、自分自身をもっともっと成長させていきたい。

新採用職員を卒業するのに当たり、仕事に対して自分の信念と責任感を持てるよう、これまで経験したことを生かしていくことはもちろん、これから出会ういろんなことを大切にし、そして自分らしくエレガントに生き、いつまでも輝き続けたい。

(県教育庁総務課主事)

 

 

 


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