教育福島0169号(1993年(H05)02月)-023page
よき出逢いを
宇野伸一
この冬は、教師生活二十年に近い小生にとって、初めてゆったりとした日々を過ごし、忘れがちであった読書三昧の生活を送ることが出来た。そんな中で「その時の出逢いが人生を根底から変えることがある。よき出逢いを。」という一文に出会った。この一文は平易な言葉で人生の真実を語り実践した「相田みつを氏」の「にんげんだもの」の冒頭に出てくる一文である。日々、教育活動に専念する私達教師にとり味わいの深い言葉であり、決して忘れてはならない言葉ではないかと感じたわけである。
小生は、中学時代、偶然にバスケットボールに出逢い、それからもう四十年になる。その中で多くの出逢いを体験したが、特にM氏との出逢いが決定的であった。当時、Iという選手を抱えていた。この選手はすばらしい才能の持ち主であったが、それを正確に見抜き評価してくれる大学の監督がいなかった。そんな中でI選手の能力を高く評価し、熱心に勧誘していただいた。当初、ご両親もこの話に少々疑義を持たれたが、最終的には、M氏の人間性に敬意を表することとなった。この出違いと選択がI選手にとり、その後の人生を大きく変え、バスケット界のスーパースターの道を歩むようになろうとは予想だに出来なかった。
I選手の能力の開花は大学入学直後から始まり、チームの中心メンバーとして活躍し、チームをリーグ優勝、インカレ三位に導き、バスケット界に新春を吹き込んだ。大学四年間はもちろん、実業団に入っても活躍をつづけ、全日本の選手として不動の地位を確保し、全日本キャプテンまで務めるに至った。これは、本人の才能と努力もあったであろうが、M氏の人間を見る目、長所を見抜き、育てる力がそうさせたものと言える。本人の努力と氏の力にただ敬意を表するのみである。
今、小生は平成七年の福島国体に関与している。当然のことながら、M氏とI選手の応援を得ながら県チ-ムを育て大会での優勝を目指しているところである。M氏は「今の自分はI選手に育てられ、先生方に助けられた結果です。皆様のお陰なのです。」と言い、さらに「自分の意図する選手が揃うなどというのは無理です。Iは別だが、来てくれた選手の良い点を伸ばし精一杯やるだけです。」とも言う。この考え方を基本として小生も努力したいと思っている。さらに、残すところ数年になった教員生活の中で"よき出逢い"を期待し、その出違いを見逃さないように"いま"を大切にして行きたい。
(県立本宮高等学校教諭)
がんばれ雪国の子供達
小勝信子
ゆきやこんこ あられやこんこ
ふっては ふっては ずんずん
つもる
やまも のはらも わたぼうし
かぶり かれきのこらず
はながさく
吐く息もパリパリと凍りついてしまいそうな冬の朝。一夜のうちに、山の様に積もった雪をスノーダンプで押しながら「何で雪国に生まれ、雪国に育ち、そして、今また雪国に嫁ぎこんな作業をしているのか?雪が降らない所なら絶対にしなくてもいい作業なのに!」と一人でぶつぶつ文句を言う。車を運転すれば、スリップして半回転、ガードレールとごっつんこ。四年前、長男がお腹の中に居る時、凍結した道路を歩いていて、滑って転んで左足骨折。「冬なんか嫌い!雪なんて大嫌い!」と言いたいところだが、やっぱり雪とは離れられない。だって雪には魅力がいっぱいあるから。
十二月、初雪の頃。のんのん のんのんと降り積もる雪。山の木々は、本当に真綿を被せた様に美しい。まさしく「ホワイトクリスマス」絵に描いた様な絶景。
一月、雪また雪。そして吹雪。ピューピューと荒れ狂う大地。
二月、三月、ピーンと張り詰めた空気。雪の表面が凍結。キラキラと日の光に輝く。雪のある間は埃を吸わなくてもいいと思っただけで空気