教育福島0169号(1993年(H05)02月)-031page
三 研究計画と組織
(略)
四 実践の概要
1 運動部活動が目指す生徒像
学校の教育目標やこれまでの部活動の問題点等を踏まえ、本校では部活動で目指す生徒像を次のように設定した。
○ 自分にあった部活動で意欲的な活動ができる。
○ 自主的に向上心をもって活動ができる。
○ 技術が向上し勝つことができる。
○ 良い人間関係を作ることができる。
○ 勉強や学級活動にも意欲的に取り組むことができる。
「剣道部の活動」
2 部活動全体計画の改善
今までの勝利至上主義的傾向や計画性が薄い部活動の在り方を改善するため、次の点について共通理解を図り、全体計画を作成した。
(1) 部活動の指導方針の設定
○ 全員入部制とする。
○ 教師は生徒の創意工夫を生かした活動になるよう指導援助する。
○ 生徒一人一人の特性が生きる活動となるよう配慮する。
(他 略)
(2) 活動時間の設定
○ 完全下校時間
四〜十月 六時四五分
十一〜三月 六時
○ 土・日曜日の練習時間
三時間以内
(3) 休養日の設定
○ 完全休養日(月一回)
○ 積極的休養日(週一〜二回)
3 指導法の改善
生徒一人一人が自己の目標をもち主体的に活動ができるようにするため、次の点について実践した。
(1) 指導法研究会の実施、指導法講習会への積極的な参加
(2) 運営及び活動計画の見直しと改善
(3) 自己評価表・個人カルテの活用
(4) 効果的な練習方法の工夫
○ 時間と場所、活動場面
「基礎体力トレーニング」
4 保健・安全面の改善
健康の保持増進やケガの防止策について理解を深めるとともに、その実践力を身に付けさせるため生徒の主体的な保健・安全活動を推進した。
(1) 保健安全委員会の組織と活用
(2) 小冊子「応急手当て」の作成と活用
5 朝の完全呼吸法の実施
自分を見つめる習慣や集中力を養うため、毎日始業前に完全呼吸法を実施した。
6 基礎体力トレーニングの実施
体力の向上やケガの防止をねらいとして、全校生に正しい準備運動や整理運動、体力トレーニングの方法等を身に付けさせるため、基礎体力トレーニングを実施した。
五 研究の成果と今後の課題
1 研究の成果
(1) 教師の意識が変わり、生徒一人一人に目を向け、それぞれの成長を大切にした指導に変わってきた。
(2) 生徒一人一人に目標を持たせ活動をさせたことや個人カルテ等で援助指導をしたことで、生徒が練習に積極的に参加するようになった。
(3) 部活動運営計画を整備して時間と場所の活用を工夫したことが、練習の効果を上げた。
(4) 定められた練習時間や休養日の設定などに配慮した効率的な練習を進めた結果、スポーツ傷害が減少した。
2 今後の課題
(1) 事後調査の結果、「毎日楽しく活動している」生徒は増えているが、「楽しくないと感じるときがある」と答えている生徒がみられるので、今後その原因を更に追求し、練習方法の工夫・改善に努める必要がある。
(2) 自主性は育ってきているが、さらに、部活動の部長会を充実させて生徒会組織との関連を深めるなど、生徒中心の部活動をより一層推進していきたい。