教育福島0170号(1993年(H05)04月)-014page

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面に根ざした道徳性の育成が図られるようにする。その際、ロングスパンで繰り返し指導すべき事項の計画や重点的に指導すべき内容、系統的発展的に指導すべき内容などを組み合わせ多様な指導が展開できるようにすることも大切になる。

(3) 創意を生かす学級の指導計画

学級の特質や学級担任の個性、創意が十分に生かされる柔軟で活用しやすい学級の指導計画を立案する。

○ 学級独自の豊かな体験活動を踏まえた計画

○ 教師と子供たちのよさや持ち味が一体となり推進できる計画

 

二、興味や意欲を高める指導

 

1 指導過程を柔軟に考える

(1) 価値の内面的自覚を図る指導の過程を十分に理解するとともに、指導を、「展開-導入-終末」の順序で構想してみるなど、各段階でのねらいや時間を考慮した柔軟な授業作りに努める。

○ 学級の実態や資料の特質を踏まえた資料提示の工夫

○ 価値の内面的自覚を図る時間の確保と手立ての工夫

(2)の 意識調査や道徳的実践への意欲付けを指導過程の一部を事前や事後に行うなど柔軟でゆとりのある授業を展開する。

2 課題意識や追求意欲を喚起する指導の活性化を図る

(1) 資料との出会いについての工夫

資料提示にあたっては、資料に描かれた道徳的問題や課題に豊かに反応し、「変だな」「おかしいぞ」といった追求意識を高め、持続させることが大切になる。

○ 先行オーガナイザー法(教育センターの研究成果による)など資料提示の工夫

○ 場面絵、ペープサートなどを効果的に使い、資料の場面状況を構造的に把握させる工夫

○ 子供たちの高まりを視覚的にとらえる心情図などの学習具の利用

(2) よさに着目させる発問や支援の工夫

子供たちが身のまわりにある様々なよさに気づくことは、よりよく生きようとする力の原動力となる。

発問や支援を構想するにあたっては、次の観点か検討してみることが大切になる。

○ ねらいに関わる道徳的価値についての子供一人一人のよさ

○ 資料に描かれる人間のよさ

○ 発言や表現に表れたよさ

○ 学習態度に関わる子供一人一人のよさや学級風土のよさ

(3) 学習形態や学習方法の工夫

子供の側に立った授業作りでは従来の指導法にねらいを見直し、子供たちが主体的に取り組める学習活動となるよう吟味し、適切に取り入れることが望まれる。

○ 体育館、花壇のまわりなど学習のねらいに合った学習の場の積極的活用と拡充

○ パネルデスカッション、ワークショップ討論、バズセッションなど子供たちが意欲を持って取り組める話し合い活動の導入

○ 意図的指名、相互指名など各段階のねらいに沿った指名

○ 事前、授業中、事後の考えの推移が分かる学習シートや変容が意識できる道徳ノートの活用

(4) 体験的な学習活動の工夫

五感や体を通した活動の中では、子供たちは夢中になって日頃の考えを出したり、つい本音を語ってしまったりするなど、身構えることなく自分を語ることができる。そうした体験を授業の中に意図的に取り入れ工夫することは、授業の活性化につながる

○ 感性を鍛えたり、感覚に訴えたりするなどの臨場感あふれる学習場面の設営

・ 写真、実物、ビデオ、手紙、録音テープなどの利用

○ 役割演技、動作化など心を表す体験の設定

・ 場面状況などを再現し、道徳的問題を実感する動作化

・ 登場人物になりきり心の中を語る役割演技

 

三 内面に根ざした道徳性の育成を図る豊かな体験の場の設定

 

学校教育全体で実践される豊かな体験活動は、それぞれに独自のねらいを持っている。道徳の価値内容との関わりで捉え直しておくことは、一人一人のよさや可能性を生かし、育てる上で重要になる。豊かな体験活動の中で道徳的課題が浮彫りにされたり、内面的な自覚がより強められたりするからである。

(1) 道徳的価値内容との関連

四つの視点(自分自身、他の人、自然や崇高なもの、集団や社会)と体験活動の関連を見直し、よさや可能性を生かし、育てる場が確保されているか見直す。

(2) 家庭や地域社会、近接の学校との連携

道徳教育は、子供たちの日常生活のあらゆる機会や場において行われてこそ十分な成果が期待できる。その際、家庭や地域社会における健全育成に関連性と一貫性を確立しておく必要がある。

○ 道徳だよりなど広報活動

○ 道徳の時間の参観や事後の話し合いなど道徳教育についての理解を得る企画

 

 

 


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