教育福島0170号(1993年(H05)04月)-019page
(特別企画)地域ぐるみの道徳教育の推進
青少年の心の教育の充実に向けて貴重な提言相次ぐ
−いわき地区(平成4年度)道徳教育振興会護−
平成四年度福島県道徳教育振興会議がいわき市で開催されました。
この会議は、毎年各教育事務所単位に巡回して開催し、学校・家庭・地域ぐるみの道徳教育を推進させるために実施されているものです。
第六回目に当たる本年度は「県民総ぐるみで青少年の心の教育を」をテーマとして、五回の会議を開催しました。
いわき地区の各分野で活躍されている二十人の委員の方々から、国際化、情報化、価値観の多様化等の社会に対応する道徳教育の推進について貴重なご意見をいただき、提言としてまとめました。国際港小名浜を控えたいわき地区ならではの提言の一部を紹介します。
1) 学校では…道徳性の育成と道徳的実践力の向上
1 道徳の授業の充実
(1) 一人一人の児童生徒が深く考え、自分の生き方を反省し、新たな道徳的価値を獲得するなど、心を強く揺り動かされるような授業を創造することが望まれる。
(2) 児童生徒が本音で語り合える人間関係の醸成や教師が人間の生き方を語るなどの豊かな人的環境作りが大切である。
2 道徳的実践の場と機会の拡充
(1) 体験に基づいた道徳性が培われるような場と機会をこれまで以上に意図的、計画的に拡充する必要がある。特に、特別活動の各領域の活動が、道徳的実践力の機会となるよう十分配慮する必要がある。
(2) 基本的な生活習慣を身につけさせるために、自校の生活目標に基づく実践活動を児童生徒と教師が一体となって行い、実践に根ざした道徳教育を推進する。また、自然愛や人間愛を培うことを重視した指導に努める。
○ 登下校のあいさつ、手洗い、オアシス運動、自然・動植物の愛護運動、部活動での基本的なしつけなど
平成4年度 福島県道徳教育振興会議
(3) 企業訪問、上級学校訪問などを通して、将来の生き方、在り方について考えさせる。
(4) 外国人や外国の学校との交流を通して、外国の文化や生活様式などを理解し尊重するとともに、互いに認め合う友好の心情と態度を育てるように努める。
○外国人英語指導助手や交際交流校などとの交流活動
3 家庭・地域社会との連携強化側
(1) 各学校では、道徳の授業参観や事後の懇談会を計画的に実施し、保護者との相互理解を深める必要がある。
(2) 各学校では、「学校だより」などの広報活動や各種会合において道徳教育についての啓発を図るとともに、地域の道徳教育に関する要望や課題などを聞く機会を設けていく。
(3) 地域の幼・小・中学校では道徳の授業を参観し合うなどの活動を通して、地域ぐるみの道徳教育推進を図るとともに、共同で実践活動を行うなど道徳教育の充実を意図した交流を図る。
(4) 高校では、ホームルームでの道徳教育を充実する。また、大学ではボランティア活動を盛んにするなど地域との連携を一層推進する。
2) 家庭では…基本的な生活習慣の育成
1 家庭の触れ合いの場の拡充
(1) 家族揃っての団らんや食事の場を大切にし、子供の考えや希望、悩みなどを聞くとともに、親の体験や願いを語り、喜びや苦しみを分かち合うなど家族の絆を一層深める努力をする。
(2) 祖父母や両親を敬い、兄弟姉妹助け合うなど、家族が相互に愛情と信頼、連帯感をもって生活するよう努める。
2 しつけの強化
(1) 大人自身が、親としての役割を自覚し、子供の鏡となる生活をするように努める。
1) 親として「たくましさ」「やさしさ」「こまやかさ」などをそれぞれの生き方や後ろ姿を通して学ばせる。
2) 子供との様々な交流の場で具体的にしつけをする。
(2) 家庭の中では、叱るべき時は本気で叱り、ほめるべき時は心からほめるなど過保護や放任に陥らないように努める。また、家庭での