教育福島0170号(1993年(H05)04月)-048page
図書館コーナー
図書館利用あれこれ
図書館の本質的機能は、資料や情報を求めるすべての人々に対してそれを提供することにあります。
言うまでもなく民主主義社会はすべての人が自分で考え、自分で判断し、自分の責任で行動することが前提となって成立している社会です。これらすべての人々に別け隔てなく、無料で、自由にその判断資料を提供し、読書によって考える力を養う材料を提供するのが公共図書館ですから、公共図書館は民主主義社会の最も重要な基盤の一つと言えるとおもいます。
しかしながら、このように重要な機関であるにもかかわらずその社会的認識はまだまだ低いのが現状です。いろいろな原因が考えられますが、その一つにPR不足を挙げることもできるでしょう。
また、図書館とは一部の特殊な人や学生の行く所、国苦しい所、といったイメージが根強く残っているようです。しかし図書館はどなたにでも門戸をひらいており、いろいろな利用の仕方があります。
それで今回は、普段あまり知られていない図書館利用や活用の仕方についての幾つかを紹介してみましょう。どうぞお気軽にご利用ください。
調べもの(調査・研究)のお手伝い
資料の閲覧や館外貸出については広く知られていますが、案外知られていないものの一つにこの「調査相談」業務があります。
これは日常生活の中での疑問や仕事上・研究上での調査等に対して、必要資料の紹介・提供を通してお手伝いをすることです。
それでも「生涯学習の時代」の反映でしょうか、近年の調査相談は件数においてますます増加の一途(「表」参照)にあり、内容的にも高度化・多様化の傾向にあります。
〔表〕調査相談(参考業務)の状況
部門 平成4年度(冊) 平成3年度(冊) 対前年度比較 人文科学 1,378 1,238 140 社会科学 1,752 1,596 156 自然科学 1,218 727 501 郷土資料 2,769 2,713 56 新聞雑誌 1,069 1,137 ▲68 一般 8,186 7,411 775 児童 467 810 ▲343 合計 8,653 8,221 432
具体的な事例をアト・ランダムに幾つか紹介しましょう。
*「子どもがこの春から小学校にあがるが浪人せず順調に大学まで卒業すると仮定して、学費はどのくらい必要か?」
*「『財団法人』『学校法人』をつくるにはどうすればよいか?」
*「福沢諭吉の『天は人の上に人をつくらず…』同様の言葉が津軽地方の歴史書にあると聞いたが確認したい。」
*「就学前児童に対する音楽教育のカリキュラムについて世界各国の状況を知りたい。」
*「李華の『古戦場を弔う文』の全文を知りたい」
*「鴎外の『うたかたの記』に記述のあるバワリア女神像の写真が見たい。」
*「江戸時代の医療器具を知りたい。」
*「中国・雲南省に住むラフ族の民族衣装を調べたい。」
等がその一部です。
これらの相談に対して、当館に関係資料があればそれを紹介しますが、所蔵していない場合には他の図書館から借用するか、購入して提供いたします。それが次に述べる「相互貸借制度」および「予約制度」です。
全国ネットで資料を探索・提供
図書館とは単なる建物ではありません。いわば資料(情報)提供のための一つのシステムと考えてください。ですからその図書館に求める資料がなかったとしても、予約制度を活用すればよいのです。図書館では地域や館種を超えた他の図書館および類似の機関との「相互貸借制度」により、または購入により、なんとかしてあなたの資料要求に答えようと努力を惜しまないはずです。何故ならそれが公共図書館の存在理由でもあるからです。