教育福島0170号(1993年(H05)04月)-050page

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ふるさと探訪

県指定重要文化財(古文書)

県指定重要文化財(古文書)

田村氏掟書、附(つけたり)大般若経

所在地三春町字御免町一九四

所有者福聚寺

弘治三年(一五五七)の田村峰頭掟書は十二条より成り、第一条に大細事ともすべて旦那である田村氏に相談すべきことを規定しているのをはじめ、寺中に対する成敗、寺中竹木の管理など、諸般にわたる条規です。

天正十年(一五八二)の田村清顕徒書は三条から成りますが、父隆顕の掟の趣旨を確認したものです。

いづれも、大名権力による寺院の聖域的治外法権に対する規制を、示す文書として極めて貴重なものです。

附の大般若経巻第三百八十三は折本で上下部分が焼失欠損してます。これを収める箱の蓋裏には、田村義顕が書写させて福聚寺(ふくじゅじ)に寄進した六百谷が天明元年(一七八一)、二月火災にかかり僅かに火中まり得た一巻である旨が記されています。

他方、会津旧事雑考(あいづくじざっこう)(寛文十二年編)に収録する円村庄大、川明王大般若経奥書では、永禄二年(一五五九)十月田村義顕が大般若経六百巻を書写させ、大元明三社に寄進したことが知られ、このことから、大元明王社の大般若経は福聚寺に移され、安永十年の火災で巻第三百八十三のみが残ったものであると思われます。

今回探訪した二つの文化財は、ともに平成五年、二月二十三日付けで県指定されたものです。

県指定重要文化財(建造物)

県指定重要文化財(建造物)

白河ハリストス正教会聖堂

所在地白河市愛宕町五〇

所有者白河正教会

この聖堂は大正三年(一九一四)七月に着工され、翌四年五月成聖式(竣工)が行われたと伝えられ、ハリストス教会として現存するものでは、全国で五番目に古い洋風建築です。

平面は聖所を中心として、全体は十字型平面で南隅には鐘、塔があります。

屋根は切妻造や八稜屋根、中央の聖所には緩勾配の方形屋根を一一段にかけ、中心部に緑色のクーポル(鐘塔の上部にある円形状のもの)根のと白塗りのドラムを重ねており、一方、屋内は白漆喰塗、聖所の天井には、球面、二角形八個を組合せた見上げのドームを構成し、ビザンチン様式の雰囲気を漂わせています。

設計は当時副舗祭であった河村伊蔵(現豊橋聖堂や現函館聖堂も担当)で、建築には地元の中村信太郎等があたり、費用は明治四十三年来日したセルギィ主教持参の千五百円と白河信徒の二千五百円で建設しました。

なお、聖所正面に多数掲げられているイコン(聖画像)は、当時の両家山下りんの筆による六点(うち県指定五点)のほかは、ロシアの信徒からの寄贈に上るものです。


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