教育福島0171号(1993年(H05)06月)-009page

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が多いので憂慮される状況にある。

○ 乗物盗では、自動車盗、オートバイ盗が減少したが、自転車盗は、六百十人で、前年に比べ百四十八人(三十二・○パーセント)増加しており、しかも、中・高校生が全体の九十・○パーセントを占めていることは憂慮される状況である。

○ 校内暴力は七件で横ばいではあるが、内容的には中学校を中心に対教師暴力が多発している。

○シンナー等を乱用して補導された少年は、5年連続して減少しているが依然として多発している。

 

このような少年非行に対して適切な対応ををするためには、一人一人の児童生徒が学校生活の様々な場面で自己の個性や能力を存分に発揮して、個性を伸長するとともに、存在感を体感するなど、学校が児童生徒の自己実現の場として機能させていくことが大切である。

学校における生徒指導は、すべての児童生徒の人格のより良き発達を目指すとともに、学校のすべての活動が児童生徒一人一人の自己実現を支援し、自己存在感を与えることを目指してすすめられる。

それゆえ、このような生徒指導を毎日の授業を中心に、学校生活の様々な場に機能させていくことが、そのまま児童生徒の非行防止に効果を上げることになる。

以下、積極的な生徒指導を推進する上で重視すべき点について述べる。

 

二 生徒指導体制の確立を図る

 

生徒指導は学校の教育目標を達成するための重要な機能であり、学校の教育活動全体に十分に生かされるように努める必要がある。

そのためには、自校の生徒指導の課題を的確にとらえ、指導方針を明確にして全職員の協力関係を整え、指導体制を確立して、課題解決に取り組むことが求められる。そのためには次の点を留意したい。

○ 教職員全員が生徒指導の基本的な考え方について共通理解し、学校としての生徒指導推進上のねらい、内容、方法等が一貫性のあるものとする。

○ 自校の生徒指導の課題について共通理解を図り、課題解決の実践事項を具体的に設定して一貫した指導方針のもとに共通実践のできる協力体制を整える。

○ 児童生徒の発達段階や学校、地域の実態を踏まえた課題解決の全体構想のもとに、具体的に機能する生徒指導の全体計画や部門計画等の指導計画を整備する。

○ 生徒指導の指導組織は、学校の実態を踏まえ、できるだけ単純で明確な、機能的な組織にし、学級担任や各教師の実践に即応できるようにする。

○ 生徒指導部門の連絡調整を密にし実践活動が円滑に行えるように配慮する。

 

三 児童生徒理解の深化を図る

 

生徒指導は一人一人の児童生徒の自己実現を目標として進められる。

それゆえ、一人一人の児童生徒をどのように理解し、その実態に即してどのように指導援助を進めるかが課題となる。

その意味で、児童生徒理解は指導援助の前提であり、どれだけ深い理解を持てるかが適切な支援をすすめる鍵となる。

児童生徒理解は日常の児童生徒の行動、態度、会話などの観察による理解のほか、各種の検査、調査を通しての理解や個別面接による理解など多様な方法を活用してなされる。

確かな児童生徒理解を進めるためには、児童生徒は絶えず成長し発達する存在であることを認識し、何のために児童生徒理解が必要なのか、その目的をはっきりさせて理解を進めるとともに、児童生徒のよさを見出す視点で理解を進めることが大切である。

なお、児童生徒の理解を適切に進めていくため、次のような手立ても工夫したい。

○ 観察記録や検査、調査の記録、面接の記録等を累積し、いつでも活用できるように保管する。

○ 担任外の教師とも情報を交換し合い、多面的に理解する。

○ 指導上特に配慮を必要とする児童生徒については事例研究会等で理解を深める。

 

四 共感的な人間関係を育てる

 

児童生徒は学校生活において集団生活を通して社会的体験を深め、様々な人間関係の中で自己を高めている。

問題行動のとりやすい児童生徒は、この人間関係が十分でないことが大きな特徴であり、緊張を強いられる人間関係の中で、児童生徒の自己発揮が疎外されることは数多く知るところである。

児童生徒は親しい友人や安心でき

 

 

 


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