教育福島0171号(1993年(H05)06月)-010page

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の人との関係では、あるがままに自己を表現し、生き生きと自己発揮している。

それゆえ、喜びを共感でき、児童生徒の相互理解を深める活動や体験を積極的に取り入れて人間関係を深め、児童生徒相互に、そして教師と児童生徒間に受容的で共感的な人間関係を育てて、学級の雰囲気を支持的風土に作り上げていくことが大切である。

 

五 生徒指導の機能を生かした授業の充実を図る

 

新しい教育においては児童生徒中心の学習が求められ、学習内容、方法の工夫により児童生徒の内発的な学習意欲を高め、児童生徒が主体的に学習に取り組めるように授業の改善が図られている。

それにもかかわらず、児童生徒の中には学習での存在感や成就感を持ち得ず学習意欲が上がらない児童生徒のいることが指摘されている。

このため、新しい教育においては従来にも増して、生徒指導の機能を生かした授業の一層充実を図ることが求められている。

○ 人間的なふれあいを大切にする。児童生徒は、学級における温かで安定した人間関係のなかで初めて安心して自己を表現し、自己発揮ができる。

それゆえ、学習中に、誤りや間違いを言っても冷笑しないで温かく見守る姿勢やどんなたどたどしい発言であっても全員が心をこめて聴いてくれる雰囲気、一人一人の人間性を認め、温かくつまずきを修正する意見を述べてくれるような学級の風土を醸成することが大切である。

○ 自己存在感を与える

児童生徒は、自分がかけがえのない存在として認められ、大切にされていると実感するとき生きる意欲を持つものである。

それゆえ、学習時には、すべての児童生徒に出番を与える。指名のときは必ず名前をよぶ。板書には発表内容のみでなく、発表者の名前も書く。誤答でも決して無視しないなど、授業の中で一人一人の児童生徒の存在を十分に認めるとともに、授業の中で一人一人の児童生徒が生きるように配慮することが大切である。

○ 自己決定の場を与える

児童生徒は自分の考えかたや行動の仕方を自分が決めて活動するとき生き生きと活動する。

それゆえ、児童生徒が自分の考えをまとめたり検討したりする時間を確保してやり、自分の考えをしっかり持たせる。課題追究の仕方を自分で決めて追究できるように支援してやる。児童生徒が自分なりにまとめたことを大切にしてやるなどに留意し、学習活動における児童生徒の自己決定の場を意図的に設け、児童生徒の主体性を重視することが大切である。

○ よさや可能性を生かす

児童生徒は、本来様々なよさや可能性を内に秘め、よりよく生きたい、より向上したいという欲求を持っている。

それゆえ、児童生徒の思いや願いに基づいて、そのよさや可能性を自ら生かすことができる学習活動を進めることによって、児童生徒は学習の喜びや成就感を味わい、進んで学習したり活動したりする意欲を高める。

したがって、いろいろな学習活動のなかで発揮される、その児童生徒なりの思考や判断、表現などの内容や傾向性のよさについて、教師はそれを的確に指摘してやったり、みんなで認めてやったり、共感したりしていくことが大切である。

 

次の事例は、生徒指導研究校の指定を受け、昨年度研究発表を行った学校の研究内容である。各学校の実践の参考にしていただきたい。

 

研究実践

目的意識をもたせ自主性を育てる生徒指導

月舘町立月舘中学校

 

一 研究主題設定の理由

 

生徒の卒業後の社会生活は、ますます複雑さを増しており、学校を卒業した者が、社会生活に適応して自己実現を図っていくためには、多くの困難を伴う状況にある。

学校教育においては、全教育活動を通して、生徒の将来における適応や自己実現に役立つ資質を育てていくことが、今強く求められている。

こうした中、本校では、「自学・明朗・友愛・奉仕」を学校教育目標として掲げ、三感(生徒の信頼感、教師の安定感、保護者の満足感)を踏まえて、教師や生徒及び保護者が一体となり、よりよい校風づくりに努めている。

本校の生徒は、素直な生徒が多く、分担された活動内容には懸命に取り組もうと努める者が多い。しかし、

 

 

 


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