教育福島0171号(1993年(H05)06月)-022page

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ている。また、意識調査でも「人につくす職業を選びたい」が三%から七%と増えている。

3) 資格取得の実態を見てみると、本校での学習活動の成果として年々、上級資格取得者が増えてきている。特に、情報処理と簿記会計においては、課外指導を熱心に受けるようになってきたことが、よい結果につながっていると言える。

 

情報処理検定

(平成元年度から3年度まで)

 

。このことは、生徒自らが主体的な自己管理に目ざめてきていると考えられる。

 

4) 保健室利用者の数が減少傾向にある。このことは、生徒自らが主体的な自己管理に目ざめてきていると考えられる。

5) 今回の意識調査で、「今、悩みや心配ごとがあるか」の質問項目について、七十三%の生徒が「ある」と答えている。これは前年度とほぼ変わらないが、その理由として、「勉強のこと」とした生徒が二十三%から三十%、「進路のこと」とした生徒が三十六%から四十二%と割合はむしろ増えている。このことは、自分のことを従前よりも真剣に考えるようになったので、新たな不安や悩みが生まれてきている結果と見ることができる。

6) 平成四年度七月に実施した地域住民に対するアンケート結果によると、「本校生の印象について」は九十七%の人々が「良い」・「普通」と答えてくれた。このアンケートが駅近くをはじめ町周辺の地域まで、生徒の通学路を中心とした広範囲の人々を対象に実施されたものであることを考えると、この数字は予想以上の高い評価であった。また、「本校生の印象は以前に比べてどうか」の質問項目については、五十三%の人々から「良い」という評価があった。

 

地域住民に対するアンケート(92名 平成4年7月実施)

 

れの領域で実践活動を展開してきた成果が現れてきていると評価できるだろう。

 

このような生徒たちの変容を見てみると、各班が研究主題のもと、それぞれの領域で実践活動を展開してきた成果が現れてきていると評価できるだろう。

さらにこのように学校全体が望ましい方向に進んできている要因としては、本校独自の「連合制」という実践活動をあげることができる。

「連合制」が初めて導入されたのは、体育祭であった。かって上級生の威圧的行為などの問題行動が見られていたころ、学年間の溝をなくし、本校生としての友情・信頼を取り戻し、親睦を図るために始まった。そして回を重ねて今年度で五回目となる。このような「連合制」は、体育祭だけでなく、リーダー講習会、ふれあいの日ポスター作成、緑化活動、図書委員会の活動、家庭クラブの駅前清掃、壁新聞等、生徒が主体的に活動する特別活動のいろいろな分野に波及した。そして学年を越えた協力体制が強まり、友情や信頼が深まった。このように連合制を取り入れることによって、活気ある充実した学校生活の場面が随所に見られたことは、本校の特徴的なこととしてあげられる。

(2) 今後の課題

本研究は六つの領域から進めてきたが、その結果を直ちに問えない項目もあるが、生徒たちの多くは充実した学校生活が送れるようになってきたと総括できるのではなかろうか。しかし、この地区もこれから入学する生徒数の減少が激しく、選ばれて入学する生徒ばかりとは限らなくなっていく。本校生は教師の指導・援助の手を緩めると、いつでも元に戻って下方修正されてしまう傾向がある。心療内科医の松崎先生は講演の中で「生徒を支援していくためには教師たちの自己変革が大切である」と説かれた。教師のあくなき自己変革を今後、いかに進めていくか、本研究の成果の定着を図るには、この点が重要な課題になると認識している。

 

 

 


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