教育福島0171号(1993年(H05)06月)-035page

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七、今後の課題

1 交流を深める活動計画作成上の問題

両校の子どもたちが共に充実感を味わえる活動を企画する難しさがあります。

特に、養護学校には、重複障害のある児童も多く、活動の範囲も狭められているため、本校の児童の願いを実現するまでの調整方法を、一層工夫する必要があります。

2 交流機会を広げる上での人数差の問題

両校の児童数には差があるため、直接交流には限界があります。そこで、VTRなどを利用した間接交流を充実させ、心情を豊かにする機会を検討することも必要です。

3 交流時間を確保する上での問題

交流の時間を超過したり、養護学校の日程から、午後の活動が組めないことがありました。無理なく交流できるようにするため、計画段階で両校で十分検討する必要があります。

4 保護者との連携の問題

保護者の理解をさらに深めるため、交流の様子や児童の変容をきめ細かく、数多く提供し、幅広い理解を得るようにしていく必要があります。

 

心身障害児理解推進校の実践二

郡山市立片平中学校

 

一、はじめに

本校は、平成三・四年度に文部省と郡山市教育委員会から「心身障害児理解推進校」の指定を受け、県立聾学校の中学部生徒との「望ましい交流のあり方」を模索してきました。

交流活動を通して「思いやりの心」を育てることが、より「心豊かでたくましい生徒」の育成につながると考え研究に取り組みました。

初年度は、交流教育に関する知識や経験のある教師がいなかったため、関係機関の先生方からの指導、助言をいただきながら研究をスタートしました。今、二年間の研究が終了し、「障害のある人も健常者も、対等な立場で互いに助け合い、生きていける人づくり」をしていくことは、私たち教師に課せられた責務であると考えています。

 

二、研究課題

本校では、生徒をとりまく地域の実態や学校生活などを考慮し、生徒の能力や個性の伸長を図りながら、障害者に対する「思いやりの心」を広げさせるために、次のような課題を設定しました。

1 「心身に障害のある人たちに対する理解と認識とを深めさせる指導のあり方

2 「思いやりの心」をはぐくみ、共に生きる喜びの味わえる、望ましい交流活動のあり方

3 保護者や地域の人々に「心身に障害のある人たちに対する理解や認識を深めるための啓発活動のあり方」

 

三、学校の概要

郡山駅の西北西に位置する田園地帯に学校があります。最近では、保護者のほとんどが兼業農家であるため、生徒は祖父母に任されているのが現状です。しかし、保護者の学校教育に対する理解と協力、関心は大変に高いものがあります。

本校は生徒数百五十九名の小規模校です。校舎から、秀峰安達太良山や優しい安積山が望まれるすばらしい自然環境の中で、生徒達は自ら学習や体力の向上に力を入れ、自己実現に努めています。

生徒は、明るく素直で、純真であり優しい気持ちを持っていますが、社会に対する奉仕作業や活動を自主的積極的に行うことは、不慣れなためあまり好まない面がみられます。

 

四、研究組織

 

本校の全職員が四つの研究部門に所属し、効果的に交流活動ができ、「思いやりの心」がはぐくめるように組織しました。

1 交流活動部:交流計画の企画、運営、交流校との連絡調整など

2 授業研究部:「思いやりの心」を育てるための授業計画・授業研究(合同授業の展開)や評価など

3 調査記録部:交流の様子やその後の生徒の変容や成果の調査記録

4 広報活動部:間接交流の機関紙の作成と、保護者への啓発など

さらに、聾学校との交流を円滑に進めるため、両校の担当者の連絡会や生徒たちの積極的な交流活動をできるよう実行委員会を組織しました。

 

研究組織図

 

 

 

 

 


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