教育福島0172号(1993年(H05)07月)-015page

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的内容を一人一人に自分のものとして身に付けさせるためには、自校の児童生徒の実態を、諸調査や検査、毎時間の授業の観察、評価等から的確に把握することが必要である。

(3) 年間指導計画及び単元(題材)や単位時間とのかかわりから

(1)、(2)の手順で押さえた身に付けさせたい基礎的・基本的内容を、児童生徒の実態に応じて、その取り扱いに軽重を加えたり、指導内容の精選を図ったりして年間指導計画に位置付けるとともに一単位時間の基礎的・基本的内容を的確に押さえることが大切である。

 

3 授業の改善・工夫

 

よい授業、わかる授業ができ、さらに基礎的・基本的内容が定着するために、次の点から授業を見直し、改善しようとする努力が必要である。

(1) 主体性を高める授業

児童生徒の″わかりたい″″できるようになりたい″という願いや欲求を満たしてやれる手だてや場の設定を工夫し、それらを通して主体性を高める授業の創造に努める必要がある。

1) 内発的な学習意欲を喚起し、持続させるために次の点に留意する。

ア 学習への動機づけの工夫

イ 成就感、達成感の体得

ウ 認められたい欲求の重視

エ 真剣に学習に取り組める雰囲気の醸成

2) 児童生徒が自ら学んでいくための学習の手順や方法等「学習の仕方」を児童生徒の発達段階に応じて身に付けさせる。

3) 一単位時間の指導目標を明確にし、その目標に即して指導すべき内容を基礎的・基本的内容に精選するとともに、中心となる活動を明確にして、時間的にゆとりを持って主体的に活動できる場を設定する。

4) 児童生徒一人一人のよさや可能性を認め、愛情を持って接し、支援するなど主体性を支える児童生徒と教師の信頼関係を確立する。

(2) 個性を生かした授業

児童生徒一人一人の考え方、判断の仕方、表現の仕方や行動の様式の中にさまざまなよさを見いだすことができる。そうしたよさを一人一人の持っている個性であるととらえ、それを生かす授業を展開する必要がある。

「個性を生かす」ことには次のような意味がある。

ア 誰にでも潜在的にある「よさ、可能性、思い、願い」を伸長させようとする。

イ 個の特徴となっている興味・関心、適性などを活用し、共通するねらいを効果的に達成させようとする。

ウ 自分の能力、技能、興味・関心、適性などについて客観的に理解させ、それを自分で活用し、自分の力で問題解決させようとする。

1) 一人一人の個性をとらえる視点

一人一人の個性は、主体的活動を促し、その活動を支援していく過程でより的確に把握できるものである。

ア 興味・関心、意欲、態度

イ 学習速度(思考、判断、表現)

ウ 学習内容の達成度、到達度

エ 生活経験

2) 授業実施上の配慮事項

個性を生かすためには、自分の意志や感情を自分なりに表現させたりする場を意図的に設定し、多様な学習活動を展開させる。

ア 教師の指導姿勢

教師主導の画一的な指導から脱却し、児童生徒の主体性を尊重し、一人一人のよさを見つけ生かすようにする。

イ 指導方法、学習形態の工夫

個に応じた柔軟な指導や支援に努め、多様な学習活動を取り入れる。

ウ 事前と事後の手だて

個に即した指導目標、到達目標、学習課題を設定し授業を構想するとともに、事後の評価を工夫し達成感を感得させる。

 

四 道徳教育の充実

 

新しい学力観に立つ教育においては、児童生徒一人一人が、人間としての生き方について自分の考えをしっかりもち、自分のよさを生かして豊かな自己実現を図っていけるようになることを目指している。

このような新しい学力観に立つ教育は、道徳教育がこれまで目指してきたものである。道徳教育は、価値を教え込む教育ではない。児童生徒一人一人が道徳的価値の大切さに気づき、内面的な自覚を図るとともに、それらを行為として実現しようとする意欲や態度を育むように支援していくのである。このように考えると、新しい学力観を根底で支えるのが道徳教育の取り組みであると言える。

新しい教育観に立つ道徳教育を推進し、一層充実させていくためには「児童生徒のよさを大切にした道徳教育の計画」「豊かな体験による指導」「内面的な力をつける指導岩環境による指導」などを大切にして進め

 

 

 


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