教育福島0172号(1993年(H05)07月)-019page

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安や懸念にまどわされることなく、学級の成員として共通の課題に取り組むことに自分の存在意義を見い出すような所属感や連帯感のある学級集団を育てることが大切である。

そのためには、学校におけるさまざまな集団活動を児童生徒の自己実現につながる望ましい集団活動として機能させることが大切である。

児童生徒は、友達と協力して活動するなかでの友人との様々なかかわりを通して、社会性を養い、自己理解を深めることになる。

それゆえ、児童生徒による望ましい集団活動が十分に展開されるように支援することが大切である。

 

5 学校不適応問題の解消

 

現在、登校拒否児童生徒をかかえる学校が多く見られる。また、登校拒否の問題は量的増加だけでなく原因や態様も多様化し複雑化している。

これらの問題に対応するには、教師の登校拒否に対する理解と認識を深めることが大切である。

登校拒否についての大切な認識は「登校拒否はどの児童生徒にも起こりうるものである」こと。また「登校拒否は学校生活上の問題が起因して起こる場合がしばしば見られ、学校、家庭、関係機関、本人の努力によってかなりの部分改善ないしは解決することができる」という認識である。

学校における登校拒否の指導に当たっては、この認識のもとに次の点に留意して指導、援助に当たることが大切である。

(1) 学校としての指導体制を確立する。

全教師が登校拒否についての理解を深め、教師間の協力、連携を図り教育相談の機能を充実する。

(2) 学校生活の改善充実を図る。

学校の集団生活における交友関係の調整を図るとともに、授業の内容や方法の改善に努め、わかる授業の実現に努める。

(3) 登校拒否の早期発見とその指導に努める

登校拒否の前兆を早期に把握し、早期発見、即時対応をするとともに粘り強く指導する。

(4) 家庭や関係機関との連携を図る。

登校拒否の原因が家庭の養育態度や家族関係によることも多いので家庭への働きかけを大切にするとともに、事例によっては専門の相談機関の協力を求める。

 

七 学年・学級経営の充実

 

1 教育目標の具現化と学年、学級経営

 

すべての児童生徒にとって学校生活が、自分の能力を発揮でき、友人や教師から認められ、成就感を味わいながら、生き生きと学習できる場になって欲しいと願いつつ、我々は日々の教育実践を積み重ねている。

学年経営も学級経営も、その目指すところは学校の教育目標の具現化であり、それぞれの児童生徒の実態の上に立ちながら、その児童生徒の持っている能力・適性を最大限に伸長させ、人間性豊かな児童生徒の育成を図ることが究極の目標である。

 

2 一人一人の児童生徒が生かされる学級経営

 

(1) 学校の教育目標の達成に努める学年経営

教育目標の具現化を図るためには、学年の特質を踏まえた具体的な目標の設定、全学年教師の共通理解のもとの教育実践内容の明確化が必要である。

そして、学級担任が共同の責任を負い共通実践に努めることが大切である。

(2) 学級経営の中で、有効に働く学年経営

学年経営が、学校経営の中で、有効に働くためには、学年の指導体制が機能的に組織されていなければならない。

具体的な学年目標・方針を確立し諸計画の立案、基本的な生活習慣の在り方等について、学年内教師が協力し、共に励むといった考えに立って援助、指導していくことが必要である。

(3) 一人一人の児童生徒理解に基づく学年経営

教師は、すべての教育活動を通して一人一人を深く理解し、学級の枠を越えた援助、指導に当たることが大切である。

そのためには、組織的・計画的に話し合いの機会を設定し、柔軟な指導ができる体制を整える必要がある。

(4) 教師の力量が生かされる学年経営

個々の教師を最大限に生かす分担を決め、経営の効率化を進める。

それぞれが学年内の役割を十分認識し協力して指導に当たることが大切である。

 

 

 


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