教育福島0172号(1993年(H05)07月)-020page
3 活力と充実感がみなぎる学級経営
(1) 一人一人に自分のものの見方や考え方を育てる学級経営
学級担任は、児童生徒一人一人の実態を的確に把握し、これからの社会において主体的に生きていくために必要な資質を養うという観点に立って、個に応じた指導を工夫することにより、児童生徒一人一人が、自分のものの見方や考え方をもち、自ら学ぶ意欲や主体的な学習の仕方を身に付けさせることが大切である。
(2) 友情と信頼に満ちた学級づくり
学級担任は、学級の実態を表面的な面にとらわれず把握し、学級目標の具現化の過程で、望ましい集団の形成を図る必要がある。
そのために、学級担任は温かい愛情のもとに児童生徒自らが育っていく過程を支援しながら、明るく高め合う学級集団を築きあげていかなければならない。
(3) 新しい学力観に立った学習指導を展開する教師
学習の主体者としての児童生徒の側に立ち、一人一人が内に秘めているよさや可能性を積極的に発揮させるよう支援し、その後の学習や生活における思考や活動に生きて働く力として身に付くことになるような指導法の工夫に努めなければならない。
(4) 家庭との連携を深める学級経営
一人一人の望ましい人間形成のためには、それぞれの家庭環境を深く理解し指導に当たらなければならない。
そのためには、平素から、家庭との連絡を密にし相互の信頼と協力関係を確立し、共通基盤に立って教育活動をすすめていくことが大切である。
八 進路指導の充実
1 進路指導のねらいと性格
学習指導要領に「生徒が自らの生き方を考え、主体的に進路を選択することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、計画的、組織的な進路指導を行うこと」が示されている。このことは、「豊かな心を持ち、たくましく生きる人間の育成」を図るためには、自ら生きる目標を求めてその実現に努める態度を育てることが必要であり、進路指導の果たす役割が大きいことを意味付けるものである。
このような能力、態度の育成のためには、一人一人の生徒が主体的に自己の特性についての理解を深め、将来の学校や職業等に関する情報を収集、活用し、進路に関する相談の機会を通じ、進路の選択・決定をすることができるよう教師は指導・援助することが必要である。
進路指導の基本的な性格を次のようにおさえ、効果のあがる手立を講じることが大切である。
ア 生徒自らの生き方についての指導・援助であること
イ 一人一人の生徒を大切にし、その資質や可能性を最大限に伸長する教育活動であること
ウ 学級活動を中核としつつ教育活動全体を通じて行うべきものであり計画的、組織的、継続的に行われる教育活動であること
エ 選択教科等の適切な選択や体験的な活動を通じて自らの個性を発見し、目的意識をもって主体的に自己実現を図っていく態度を育てる教育活動であること
オ 家庭、地域社会、関係諸機関等との連携、協力が特に必要とされる教育活動であること
2 進路指導の課題と改善
進路指導のねらいや必要性について理解を深め、全教師が一体となって生徒の実態や学校の問題点を的確に把握し、次のような課題に全校挙げて取り組むことが大切である。
ア 進路指導の組織を整え、全体計画を見直すこと
イ 進路指導についての校内研修や校外研修を積極的に行い、校内の進路指導体制を確立すること
ウ 学級活動における、進路の適切な選択と将来の生き方に関する学習についての指導を充実すること
エ 進路に関する情報の提供や進路相談を工夫すること
オ 保護者に対して、望ましい進路指導等の在り方についての啓発に努めるとともに、関係諸機関等との連携に努めること
3 進路指導の進め方
進路指導は学級活動の中に位置付け、三年間を見通して学校の教育活動全体を通じて行うものである。
したがって、各学校においては、三ヵ年を見通して計画的・組織的・継続的な進路指導が行えるよう指導計画を作成する必要がある。
特に、各学年における進路指導の発展、系統を明らかにして、それぞれの学年の指導に当たることが大切である。
各学年の指導の目標は次のとおりである。
ア 第一学年では、進路については