教育福島0172号(1993年(H05)07月)-021page
関心を深めるとともに、自己をよく理解し、進路についての学習を計画しようとする態度を養う。
イ 第二学年では、進学したい学校や職業などに関する進路情報を理解させ、自己の計画を吟味して実現しようとする態度を養う。
ウ 第三学年では、自分にふさわしい進路を選択し、具体的に決定することが中心となるが、その過程で、必要な知識を指導して自己実現が図れるようにする。また、進路をめぐり、情報が不安定になり易い時期でもあるので、実態に即した指導を進めることも大切である。
4 進路指導と学級担任
学校における進路指導が適切に行われるためには、進路指導主事を中心としながら、学級担任の識見と熱意と指導力に期待するところが極めて大きいと言える。
進路指導における学級担任の役割としては、次のようなことが考えられる。
ア 学級における進路指導の目標、方針等の設定と指導計画の充実
イ 学級活動における進路指導の作成
ウ 進路に関する各種資料、情報の収集と提供
エ 生徒の個人に関する資料及び学級全体に関する資料の収集、整理活用等
オ 生徒の能力、適性の把握と進路相談の計画実施
カ 保護者との連携及び啓蒙
学級担任は、担任する生徒一人一人の個性を尊重し、それぞれの家庭との連携を深めながら、変化の激しい社会の中で自己を正しく生かすことができるように適切な援助、指導を続けていくことが望まれる。
九 へき地・小規模校教育の充実
学習指導要領は四つの基本的なねらいによってまとめられているが、へき地・小規模校教育の展開に当たってもこれらのことを十分理解することが不可欠である。そこでは特に自ら学ぶ主体的な学習態度を育て、児童生徒一人一人の個性を生かす教育を推進することが求められているが、へき地・小規模校の特性を有効に生かし、児童生徒の側に立った学習指導を充実するなど、個に応じた指導を進めることが大切である。
1 特性を生かす学校・学級経営
(1) 特性を生かす教育課程の展開
従来、へき地・小規模校について考える場合、そのへき遠性ゆえの生活的、交通的悪条件や小規模であるための学習の非能率性・学力向上への不適などマイナス面に視点がおかれる傾向にあった。しかし、最近では、へき地・小規模校の特性を捉え直し、それを積極的に生かして教育の効果をあげていこうとする立場からの発想による実践が多くなってきている。そういった観点からへき地・小規模校の特性は、次のようなことが挙げられる。
ア 児童生徒数が少ないために、一人一人の個に応じた指導が行いやすい。
イ 地域的に豊かな自然環境に恵まれ、それらを教材化したり、体験活動に生かしたりすることができる。
ウ 地域が学校に対して期待と関心を持ち、協力的であり、学校と家庭・地域との連帯力・一体感が強い。
エ 教職員組織が小さいため、十分に共通理解を図ることができ、一体となった指導体制づくりがしやすい。
したがって、へき地・小規模校においては、プラス面の特性を積極的に生かし、指導計画の作成や指導方法等について具体的な工夫改善を図り、教育課程を展開していかなければならない。
(2) 家庭、地域との連携を図る経営
へき地・小規模校においては、地域をあげて教育に取り組もうとする姿勢が強く、地域住民の学校に対する協力も得やすい傾向があるので、学校は地域の人々に協力を求め、その知識や技術を学校教育の中で積極的に活用することが大切である。
また、学校は家庭や地域社会に積極的に働きかけ、その教育力を十分発揮されるよう配慮することが大切である。
(3) 他校との交流を図る経営
各学校は小規模校であっても、多くの学校が集合し、合同して行事などを行うことにより、一校だけではできない活動を実施することができる。近隣の学校と学校行事や自然教室、宿泊訓練などを合同で行ったりする活動を通じて、学校全体が活性化しまた、児童生徒が幅広い体験を得、視野を広げて、豊かな人間形成を図っていくことができる。大集団の中で学習する機会を与え、その中で自己を見つめ、協調性や向上心を育てることは重要である。
2 特性を生かす授業
へき地・小規模校はむしろ、その特性、よさを積極的に生かしていく