教育福島0172号(1993年(H05)07月)-022page

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ことを考えると、学習指導要領の趣旨の具体化を有効に図っていける条件を多く備えているとも言える。

(1) 少人数を踏まえた授業

へき地・小規模校は「個に応じた指導」が具体化させやすいので、児童生徒の特性をよく把握し、それを指導に生かすことが大切である。また、マイナス面として指摘されている点についても改善を図ることが必要である。

ア 個に応じた学習課題の設定

イ 個に応じた学習時間や学習量の調整

ウ 学習コースの自由な選択

エ 向上意欲を高め合う話し合い活動や集団思考の場の設定

(2) 主体的な学習態度の育成

少人数の固定的な集団では、ともすると追随的・妥協的な学習態度になりがちである。特に複式学級においては、異学年との学習になるので自学自習の時間が多くなり、各児童生徒の状況に応じた柔軟な指導に配慮しなければならない。

ア意欲的・主体的に展開できるような指導過程の工夫

イ 目標や学習課題が一人一人に機能するような工夫と配慮

ウ 教科に応じたノートの取り方、学習の仕方の指導

エ 異学年による協力学習の仕方の指導と自学自習の習慣化

オ 直接指導に生きるような間接指導の工夫

(3) 自然環境を教材や体験学習に生かす工夫

へき地・小規模校においては、豊かな自然環境を生かして、教材を地域社会から見出し、豊かな学習活動を展開するように創意工夫することが望まれる。

そのためには、日常の学習活動の中に体験的な学習を取り入れ、児童生徒が自主的・自発的に学習することができるような場を設定することが重要である。各教科等の指導の中で観察、調査、実験、栽培、飼育などの諸活動、製作、創作などの表現活動など、地域の豊かな自然環境を生かした多様な体験的な活動を取り入れることが大切である。

(4) 教育機器や資料の積極的な活用

児童生徒の興味・関心を高めたり理解を助けたりするための大きな役割を果たす視聴覚教材や教育機器を積極的に活用し、学習意欲の喚起や学習の仕方を身に付けるようにすることが大切である。

(5) 指導と評価の一体化を図る

少人数学級のよさは、個々の児童生徒に目が届きやすく、学習のつまずきをとらえて個に即した指導がしやすい点にもある。したがって、一人一人の学習結果やつまずき等を個人カルテなどに記録し、評価や今後の指導に役立てるように配慮して、指導と評価の一体化を図ることが重要である。

 

十 体育、保健、安全及び給食指導の充実

 

児童生徒の心身の調和的な発達を図るとともに、健康で安全な生活を営むために必要な習慣や態度を育てるためには、学校の教育活動全体を通じて行われる体育に関する指導を一層充実させる必要がある。

そのため、体育指導については生涯スポーツと体力の向上を重視し、児童生徒が自ら進んで運動に親しむ能力や態度を身に付け、心身を鍛えることができるようにすることが大切である。また、保健・安全及び給食指導については、身近な生活における具体的な知識の理解や活動を通じて、自主的に健康で安全な生活を実践すす能力や態度を育成することが大切である。

 

1 体育指導の充実

 

体育指導は、体育の授業を中核としながら、体育的な行事や運動部活動などとの関連を十分に図り、児童生徒が自ら進んで運動に取り組み、体力・運動能力を向上させることができるよう配慮する必要がある。

(1) 指導計画の作成

学校の教育活動全体を通じて体育的活動が適切に実践されるよう、全体計画、体力つくり推進計画、部活動指導計画等を作成する。

(2) 運動の楽しさの体験

身体を動かす楽しさを体験させるだけにとどまらず、児童生徒の発達段階を考慮しながら、運動の特性(競争、達成、克服、模倣・変身、必要性の充足等)に触れる楽しさや喜びを味わわせるとともに、最善を尽くして運動に取り組み、技能の向上が図られるよう学習過程や学習の場を工夫する。

(3) 運動への主体的な取り組み

児童生徒が進んで運動に取り組むことができるよう、発達段階や一人一人の能力に適した課題や活動の場を自ら選択できるよう配慮する。

(4) 体力・運動能力の向上

学校や児童生徒の体力・運動能力に関する課題に基づく解決策を策定するとともに、その解決に向かって一人一人が日常的に進んで運動に取り組むことができるよう、個人記録表や施設設備を積極的に活用する。

 

 

 


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