教育福島0172号(1993年(H05)07月)-023page

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随想

日々の想い

 

心に旗を立てよ

星茂行

 

『心に旗を立てよ』

 

『心に旗を立てよ』

これは私が以前仕えた校長先生から教えられた言葉である。目標を持って自分のベストを尽くせという意味で使われていたと思うが、心に残る名言と思い座右の銘としている。荒れた学校に赴任してこられ、私たち職員を励まし生徒に理想を説いてくださった。学校改革の明確な方針を感じて職員が一つにまとまり、みるみるうちに学校内の問題は少なくなっていった。

生徒の低い学習意欲を高めるために一人一人に教材を用意する先生、生徒の心を沸き立たせる行事を考え出す先生、荒れがちな生徒に生きがいを持たせるために心を砕く先生等等、それぞれが生徒の現状を何とか改善していこう、生徒の目を輝かせてやろうと自分に一番合ったやり方で頑張っていた。学校を良くするためにという共通の目標の実現のために、お互いに競争し合い、見えないところで支え合っていた。大会の事務局校として夜遅くまで仕事をしなければならない時も、みんなで一つのことをやりとげつつあるという充実感の方が大きくほとんど苦にならなかった。たちまちのうちに生徒たちの心は、いじめや非行や反抗から離れて自分の目標に向かって動き出し、授業中の生徒たちの目が輝きはじめ、見違えるように学校全体の活動が活発になっていった。

新任教頭として赴任して二ヵ月、ようやく学校が抱える課題らしきものが実感として受けとめられ、私の心の中に立つ旗の姿がおぼろげながら見え始めてきたところである。生徒一人一人のことをよく見つめ、温かく育てていこうとされている校長先生のすばらしい姿勢に教えられながら、新しい環境に早く慣れ、生徒たちにそれぞれの旗を立てさせるために力を尽くさなければならないと思っている。そのためには教頭として何をすべきなのか、何が可能なのか模索している現状である。

美しい自然の中で、純朴な生徒たちと、若く理想に燃える先生方と共に、大きな旗をはためかせたいと考えている。

(只見町立朝日中学校教頭)

 

教師としての第一歩

渡辺純子

 

田中学校の門をくぐり、教師として第一歩を踏み出して二ヵ月近くになります。

 

身のひきしまる思いで受け取った辞令を手にして、いわき市立植田中学校の門をくぐり、教師として第一歩を踏み出して二ヵ月近くになります。

季節の移り変わりを実感するゆとりがないまま、忙しい毎日を送っています。

私が教師を志した理由は、社会の変化にともない、世の中の全てが加速度的に変わっていくそんな中で、今も昔も変わらない「心のふれあい」を通しての教育が私の夢でした。それは、生徒との日常のふれあいの中で感動し、喜びを共にできるということです。

新米といえども、教師の仕事はベテランの先生方と同じことをしなければなりません。目標としての教師像、授業のあり方をそれなりに描いてはいました。しかし、現実には仕事を覚えていく段階の自分が、そう段取りよく、うまく出来るはずもありません。理想は押しつぶされ、敗北感や自己嫌悪感が残ります。特に教師の命でもある授業においても。

実際教壇に立つと、生徒に言い訳は通用しません。彼らにとっては、毎日の授業が、かけがえのない貴重

 

 

 


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